喘息治療に用いるステロイド薬「メドロール」の特徴と効果、副作用
メドロールはステロイド薬の一種で、喘息治療に用いることがあります。
この記事では、メドロール錠の使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っている最中の方も、ぜひ最後までお読み下さい。
1.メドロールとはどのような薬か
メドロール錠は内服(飲み薬)のステロイド薬であり、炎症を強力に取り除く作用があります。
【参考情報】『Methylprednisolone』Medline Plus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682795.html
喘息のほか、関節リウマチなどの自己免疫系疾患やアレルギー疾患、血液疾患など、幅広い疾患に適応を持ちます。
喘息の治療では、まずはステロイドの作用が気道に直接作用するように作られている吸入ステロイド薬をベースに治療を開始します。
しかし、症状が改善しない場合には、ロイコトリエン拮抗薬やテオフィリン製剤を追加します。
それでも効果が感じられない時に、メドロール錠のような経口ステロイド薬を用いて、気道の炎症をコントロールすることがあります。
吸入ステロイド薬は、使用した部位にのみ作用するよう設計された薬です。また、使用量もごくわずかであるため、副作用は非常に少ないのが特徴です。
しかし、経口ステロイド薬は、全身にさまざまな副作用が現れるリスクがあります。
「副作用がある」というと、服用するのが怖いと感じるかもしれません。しかし、このまま気道の炎症が治まらず、症状が改善しないと、治療はますます難しくなっていきます。
副作用よりも、薬を使わず症状が悪化していく方がよほど怖いと判断した時に、医師は経口ステロイド薬を処方します。
【参考情報】『ステロイド剤はこわい?』全日本民医連
https://www.min-iren.gr.jp/?p=26742
2.メドロールの使い方
メドロール錠は、成人の場合、1日に4~48mgを1〜4回に分けて、水かぬるま湯と一緒に飲みます。
小児に使用することも可能ですが、さまざまな副作用が出現する可能性もあるため、専門医の指導の下で十分に注意して使用する必要があります。
【参考情報】『喘息を知る/治療』独立行政法人環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html
3.メドロールの副作用
メドロール錠の副作用には、以下のようなものがあります。
・感染症にかかりやすくなる
・続発性副腎皮質機能不全
・糖尿病
・骨粗しょう症
・消化性潰瘍
また、経口ステロイド薬に特徴的な副作用である満月様顔貌(ムーンフェイス)や消化器症状(胃のムカムカ)などが出現しやすいです。
満月様顔貌とは、顔が満月のように丸く膨らむ副作用です。見た目に大きな変化が現れてしまうため、精神的なダメージが生じる可能性がありますが、ステロイド薬が減量できれば元に戻ります。
4.使用上の注意点
持病やアレルギーのある人、服薬中の人は医師に伝えておきましょう。また、水痘(水ぼうそう)または麻疹(はしか)にかかったことがなく、これらの予防接種を受けていない人も、医師に伝えてください。
経口ステロイド薬の投与を急に中止すると、発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれる可能性があります。
これらの症状を防ぐためには、少しずつ薬を減らしていく必要があるため、医師の判断を仰ぎながら、用法容量を調節していきましょう。
【参考情報】『ステロイド離脱症候群』日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=35
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/asthma-during-pregnancy/
5.メドロール錠の薬価
メドロール錠の薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・メドロール錠2mg 5.9円
・メドロール錠4mg 11.1円
メドロール錠の代わりとなるジェネリック医薬品はありません。
6.おわりに
ステロイドの飲み薬は、メドロール錠以外に、プレドニン錠やリンデロン錠などがあります。
経口ステロイド薬は、吸入ステロイド薬などを使用しても喘息の症状が良くならず、重症だと判断したときのみ、短期間使用します。
全身に強力な抗炎症効果を発揮する一方、注意事項や副作用が多いため、使用の際には、経験や実績が豊富な専門医の判断に従いましょう。