寝ている間に喉が渇くのはなぜ?睡眠時無呼吸症候群との関係
朝起きたら、「何だかやけに喉が渇いている」ということはありませんか?
部屋の環境や寝具の影響で、寝ている間に喉が渇くこともありますが、中には睡眠時無呼吸症候群という病気が原因で、喉が乾燥してしまう人もいます。
この記事では、睡眠時無呼吸症候群で喉が渇く理由を解説します。
目次
1.睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に一瞬、呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。
この病気の主な自覚症状は、大きないびき、起床時の頭痛、日中の眠気です。
患者さんのいびきは、音が激しく、しかも長時間続くことが多いです。これが毎日のように繰り返されるため、一緒に寝ている人の安眠を妨げてしまいます。
また、突然呼吸が止まったり、一晩中苦しそうにしている様子を見て、家族は不安に思っているかもしれません。
この病気は、肥満体型の人に多く、治療をせずに放っておくと、生活習慣病や心血管疾患を合併しやすくなります。
しかし、治療を開始すると、いびきや昼間の眠気などの症状が改善し、合併症を予防することもできます。
2.なぜ、いびきをかくと睡眠中に喉が渇くのか
いびきをかく人のほとんどは、口を開けて眠っています。特に睡眠時無呼吸症候群の人は、寝ている間に呼吸が苦しくなるため、無意識のうちに口を開けて呼吸をしています。
口で呼吸をすると、口の中が乾燥するので、喉が渇きやすくなります。そのため、喉がヒリヒリと痛くなったり、イガイガとした違和感に悩まされることがあります。
夜間に喉が渇いたり、喉が乾燥して不快になることが続けば、もとから病気のため呼吸状態が悪く、熟睡できない状態なのに、ますます睡眠が妨げられ悪循環となります。
睡眠時無呼吸症候群が原因で、喉が渇きやすくなっているのなら、その悩みを改善するためには治療が必要となります。
【参考情報】『Mouth Breathing』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22734-mouth-breathing
3.睡眠時無呼吸症候群のいびきの特徴
いびきは、空気の通り道である気道が狭くなったときに発生します。息を吸った後に、空気が気道を通る際に、喉が振動して音が出るのです。
肥満体型の人は、喉の周辺にも脂肪がついているため、気道が脂肪で圧迫され狭くなりがちです。
痩せている人でも、もともとあごの骨格が小さい人は、少し体重が増えただけでも喉に脂肪がついて、気道が狭くなることがあります。
気道が狭くなると、空気を十分に取り込もうとして、思い切り息を吸うようになります。すると、空気が通るたびに喉が激しく振動して、いびきの音も大きくなります。
健康な人でも、疲れた時や、お酒を飲み過ぎた時には、大きないびきが出ることはあります。しかし、それは一時的なことです。
睡眠時無呼吸症候群の人は、普段から気道が狭くなっているため、毎日のようにいびきが出ることが多く、しかも音が大きくなるのです。
【参考情報】『Q15 夜、いびきをかく、と言われました』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q15.html
4.睡眠中に喉が渇く、その他の原因
睡眠時無呼吸症候群以外の原因でも、寝ている間に喉が渇くことがあります。
4-1.部屋の乾燥
人間は、寝ている間にコップ一杯程度の汗をかくと言われています。
そのため、睡眠中には水分が体から抜けていくのですが、部屋の空気が乾燥していると、さらに多くの水分が抜けてしまいます。
特に冬場は、空気が乾燥していることに加え、エアコンをつけることも多くなるため、いつもより寝室が乾燥しがちです。
加湿器などを利用して、寝室の湿度を40~60%程度に保ち、睡眠中に喉が渇くことを防ぎましょう。
加湿器がない場合は、濡れたタオルを干しておくことをおすすめします。
4-2.水分摂取量の不足
水分摂取量が足りないと、体の中の水分が不足して、喉が渇きます。
夏の暑い日や、運動で汗をかいた日は積極的に水を飲んでいる人も、冬場は汗をあまりかかず、喉が渇きにくくなるため、意識して水分を摂らないと、意外と不足することがあります。
また、コーヒーなどカフェイン入りの飲料やお酒は利尿作用があるため、水分補給には適していません。
睡眠中に喉が渇いてしまう人は、就寝前にコップ1杯程の水、または白湯で水分を補給するよう心掛けましょう。
4-3.鼻詰まり
風邪や花粉症などにより鼻が詰まると、鼻に空気が通りにくくなるため、つい、口で呼吸をしてしまいます。すると、口から直接乾燥した空気が喉を通り、喉が渇きます。
このような場合は、原因となる病気が治れば鼻呼吸に戻るので、あまり心配はありません。
鼻詰まりがなかなかよくならない時は、耳鼻咽喉科を受診して原因を調べましょう。
【参考情報】『近くの耳鼻咽喉科専門医を探しましょう』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/search_citizens/
4-4.夜間口腔乾燥症(ドライマウス)
人は加齢とともに、唾液の分泌が減ってきます。そのため、高齢になると、特に夜間に口や喉が渇きやすくなり、口臭や口の中の痛み、舌のひび割れなどの症状も出てきます。
専用の保湿液で乾燥を防ぐこともできますが、思い当たる方は、日中もこまめに水を飲むようにしてください。
【参考情報】『口の中が乾燥する』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kanso/
4-5.その他の原因
その他、糖尿病などの病気やストレス、薬の副作用が原因で、睡眠中に喉が渇くことがあります。
寝ている間に口呼吸にはなっておらず、水分も積極的に摂っているのに、喉の渇きが治まらない場合は、かかりつけ医、または内科を受診して相談してみましょう。
5.睡眠中の喉の渇きが続くなら
就寝中の喉の渇き・喉の痛みのほかに、以下のような症状があれば、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるので病院を受診しましょう。
・激しいいびき
・起床時の頭痛
・昼間の眠気
・睡眠中の息苦しさ
睡眠時無呼吸症候群の疑いがあれば、まずは自宅でできる簡易検査を行います。
簡易検査の結果、さらに詳しい検査が必要だと判断された場合は精密検査を行います。
治療が必要と判断されたら、CPAP(シーパップ)をはじめとした医療機器を用いて、睡眠中の呼吸をサポートします。
CPAPの効果は、重症の方ほどはっきり実感できるようで、治療開始の翌朝から「目覚めがよくなった」とおっしゃる患者さんも多いです。
いびきが減り、口呼吸から鼻呼吸に戻っていくと、夜間に喉が渇くことも少なくなり、ぐっすり眠れるようになります。
6.おわりに
睡眠時無呼吸症候群になっても、初めは眠気や疲れなどの症状しか感じられないため、ストレスや加齢のせいだと考えがちです。
しかし、そのまま放っておくと、高血圧や心不全、糖尿病などの合併症に見舞われ、突然、脳卒中や心筋梗塞で命を落とすこともあります。
睡眠中の喉の渇きやいびきなど、ささいなサインを見逃さず、早くに治療を始めれば、合併症のリスクは、健康な人と変わらない程度に下がっていきます。
朝起きたときに、喉の渇きや頭痛など、不快な症状が続いている場合は、病院で原因を調べ、適切な治療を受けましょう。