いびきの原因は「舌」にある?理由と対処法を解説します
「毎晩のようにいびきをかいているね」と、家族や周囲の人から指摘されたことはないでしょうか。
いびきが出る原因はいくつかありますが、舌に問題がある場合、改善できる可能性があります。
この記事では、いびきの原因が舌にあった場合、どのような理由が考えられるのかを解説します。
自分でできる対策もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.いびきとは
いびきは、寝ている間に鼻から喉にある上気道が、何らかの原因で狭くなった場合に起こります。
狭くなった部分を空気が通る時に、粘膜が振動して音が鳴ります。
飲酒や疲れなどが原因で、一時的に喉が狭くなってしまうために起こることもあれば、何らかの病気の症状として出ることもあります。
病気が原因の場合、早期に治療を行わなければいけないこともあります。毎晩いびきをかいている人は、注意が必要です。
2.舌が原因でいびきが出る理由
いびきの原因が舌にある場合、どのような理由が考えられるのかを説明します。
2-1.舌の筋肉の衰え
舌の筋肉が衰えると、舌が重力に逆らえずに喉元に落ち込み、気道を塞いでしまうことがあります。これを「舌根沈下(ぜっこんちんか)」といいます。
通常、寝ているだけで舌根沈下になることはほとんどないのですが、加齢により舌の筋肉が衰えて緩んでくると、睡眠中に起こりやすくなります。
舌根沈下により気道が狭くなると、いびきが出やすくなります。高齢者、特に女性の高齢者は筋肉の力が弱いため、舌の筋肉も衰えていることが多いです。
2-2.舌の筋肉のゆるみ
舌の筋肉が衰えていない人でも、舌が緩んで喉に落ち込み、いびきが出ることがあります。
原因としては、アルコールや睡眠薬、更年期以降の女性ホルモン減少などが挙げられます。
寝る前の飲酒にはリラックス効果があり、寝つきが良くなると思っている人も多いでしょう。
しかし、摂取量が増えると舌の筋肉が緩んで気道を塞ぎ、いびきが出やすくなります。
【参考情報】『アルコールの作用』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-003.html
睡眠薬の中には、筋肉が緩む作用を持つものがあり、服用すると舌の筋肉も緩んでいびきが出ることがあります。
女性は、更年期を過ぎるといびきをかきやすくなります。
女性ホルモンの一種であるプロゲステロンには、筋肉を広げる働きがあります。
このホルモンが、閉経により減ってしまうと気道が狭くなり、さらに舌の筋肉も緩んで喉に落ち込み、いびきの原因となります。
2-3.舌の肥大
舌が肥大してしまうと喉に落ち込みやすくなり、いびきが生じることがあります。肥大の原因は、主に肥満です。
肥満以外の原因としては、甲状腺機能低下症によるホルモンの影響で、舌がむくんで肥大する場合があります。
【参考情報】『甲状腺機能低下症』日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=38
また、舌がんがあった場合も、がん細胞が徐々に大きくなり舌が肥大して、喉を圧迫してしまうことがあります。
【参考情報】『舌がん』がん情報サービス|国立がん研究センター
https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/index.html
2-4.舌の位置が低い
舌が正常な位置よりも低い位置にある状態を「低位舌(ていいぜつ)」と言います。
低位舌の人は、口を閉じてしまうと気道が塞がれやすくなってしまうため、気道を広げようとして、口呼吸になりやすいです。
寝ているときも同様に、気道が塞がれないように、無意識のうちに口呼吸となるため、いびきが出やすくなります。
3.舌を健康な状態にするためにできること
いびきの原因が舌にある場合、改善のため、自分でできる対策を紹介します。
3-1.舌の筋肉を鍛える
舌はほとんどが筋肉でできています。舌の筋肉を鍛えることで、いびきが改善する可能性があります。
舌の筋力トレーニングとしては、以下のような方法があります。
・噛み応えのある食材を積極的に食べる
・舌を動かす体操をする
・トレーニンググッズを用いて鍛える
舌を鍛えると、低位舌や口呼吸の改善にもなります。
【参考情報】『オーラルフレイル対策のための口腔体操』日本歯科医師会
https://www.jda.or.jp/oral_frail/gymnastics/
3-2.寝酒は控える
寝る前のお酒は、舌や喉の筋肉の緩みにつながるため、できるだけ控えるようにしましょう。
いびきを予防したいなら、寝る4時間前には飲酒を終え、飲む量もほどほどにするのが良いでしょう。
3-3.睡眠薬は筋弛緩作用のないものを選ぶ
なかなか寝付けない時や、うつ病などを治療中の方は、睡眠薬を使用することもあるでしょう。
そのような方は、いびきで悩んでいることを医師に告げ、筋弛緩作用のない睡眠薬を処方してもらいましょう。
3-4.減量する
舌の脂肪を落とすと肥大が抑えられ、いびきが改善することがあります。
しかし、舌の脂肪だけを落とすのは難しいため、適正体重を目標に減量するといいでしょう。
極端な減量はリバウンドにつながり、かえっていびきを悪化させる恐れがあります。食事と生活習慣を見直し、少しずつ体重を落としていきましょう。
【参考情報】『Steps for Losing Weight』CDC
https://www.cdc.gov/healthy-weight-growth/losing-weight/index.html
4.対策してもいびきが改善しなかったら
自分でできる対策を行ったものの、いびきが改善しなかった場合、睡眠時無呼吸症候群という病気になっている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に無呼吸や浅い呼吸を何度も繰り返す病気です。この病気によくある症状として、いびきがあります。
いびきの音はとても大きく、周りから指摘されることも少なくありません。
いびきのほか、日中の眠気や、夜間に何度も起きてしまうなどの症状があれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いです。
5.おわりに
いびきは男性の約57%、女性の約40%にみられ、年齢とともに多くなると言われています。
いびきの原因が睡眠時無呼吸症候群である場合、放っておくと生活習慣病や心血管疾患が引き起こされる可能性が高まります。
しかし、治療によって症状が改善すると、合併症のリスクは健康な人と同じ程度まで下がっていきます。
いびきを改善する対策を行っても良くならない場合は、一度病院で検査をして原因を調べましょう。
いびきが軽減すると、本人も周囲の人たちもぐっすり眠れるようになり、翌朝の目覚めが爽快になります。