いびきは口臭の元?その理由と防ぐための対策
朝起きたときに「口臭がきついのでは」と、気になることはありませんか?
寝起きは誰もが多少は口臭が強くなるものですが、中にはいびきが原因で、臭いがより強くなっている人もいます。
この記事では、いびきが原因で口臭が強くなる理由をお伝えします。いびきを防ぐために自分でできる対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.いびきが出る原因
いびきは、何らかの原因で上気道が狭くなり、狭くなった上気道を空気が通る時に、喉の粘膜が振動して出る音です。
上気道が狭くなる原因としては、肥満や鼻づまり、喉や舌の筋肉の緩みなどがあります。
いびきは、風邪や花粉症などのため鼻が詰まっている時によく出ます。そのような場合は、原因となる病気が治ればいびきも治まるので、そんなに心配ありません。
しかし、毎晩のように大きないびきをかいているなら、その裏に深刻な病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
【参考情報】『Snoring』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/15580-snoring
2.いびきで口臭が強くなる理由
寝ている間は、もともと唾液の分泌が減るため、口の中が乾燥しやすくなります。
いびきをかいている人は、口を開けて寝ているため、口の中が空気に触れてさらに乾燥します。
唾液には、口の中に残っている食べカスを洗い流したり、細菌の増殖を抑えたりすることで、口腔内を清潔に保つ役割があります。
いびきをかいている人は、口の中が乾燥して唾液の量が減ることにより、口腔内の細菌が繁殖して、口臭が強くなるのです。
【参考情報】『歯・口の機能』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-01-001.html
3.いびきによる口臭を防ぐには
口臭の原因がいびきにある場合、改善のため自分でできる対策を紹介します。
3-1.寝る前に温かい飲み物を飲む
いびきの原因が鼻詰まりによるものなら、寝る前に温かい飲み物を飲んでみましょう。
鼻や喉を加湿することで鼻水が出やすくなり、鼻の通りがよくなることで、寝ている間の口呼吸やいびきの予防につながります。
3-2.寝室の湿度を適切に保つ
寝室の湿度が低いと、鼻の粘膜が乾燥します。すると、鼻での呼吸がしにくくなり、睡眠中に口を開けてしまいます。
寝ている間に口が開いてしまうと、いびきが出やすくなります。また、口の中が乾燥して雑菌が繁殖するので、口臭もきつくなります。
寝室の湿度は、50%前後だと快適に眠ることができます。加湿器を利用する、濡れタオルを干すなどの対策で、湿度をコントロールしましょう。
3-3.口輪筋を鍛える
加齢などが原因で、口の周りにある口輪筋が衰えてくると、睡眠中に口が開きやすくなり、いびきや口臭の原因となります。
口輪筋は、トレーニングで鍛えることができます。専用のグッズも販売されていますが、以下のような方法でも鍛えることができます。
・口角を上げて笑う
・口笛を吹く
・風船をふくらませる
手軽な方法ですが、継続して行うと、筋力アップにつながります。
3-4.減量する
肥満体型の人は、首回りの脂肪により気道が圧迫され狭くなります。
気道が狭くなると、睡眠中に息が苦しくなって口を開けてしまい、いびきをかきやすくなります。
当てはまる人は、食事と生活習慣を見直し、無理のないペースで適正体重を目指しましょう。
【参考情報】『Losing Weight』CDC
https://www.cdc.gov/healthyweight/losing_weight/index.html
4.対策しても効果を感じない場合
自分でできる対策を行ったとしても、いびきが続くようであれば、睡眠時無呼吸症候群という病気が原因でいびきが出ている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に何らかの原因で無呼吸や浅い呼吸を繰り返す病気です。この病気の症状のひとつとして、毎晩のように繰り返されるいびきがあります。
患者さんのいびきは激しく、自分のいびきの音で目が覚めてしまったり、一緒に寝ている家族やパートナーの安眠が妨げられることもあります。
もし、睡眠時無呼吸症候群が原因で、口を開けて眠っているのであれば、治療しなければいびきや口臭の改善は期待できません。
いびきのほかにも、日中の眠気や起床時の頭痛などの症状があれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いので、病院を受診して検査を受けましょう。
5.口臭が発生する病気
睡眠時無呼吸症候群以外の病気でも、口臭が発生することはあります。
5-1.歯周病
歯周病菌は、歯と歯茎の隙間に溜まった食べカスなどを分解する過程で、ガスを発生させます。そのため、歯周病になると口臭が発生します。
進行すると歯茎に膿が溜まり、さらに強い悪臭が漂うようになります。
5-2.虫歯
虫歯により歯に穴が開くと、そこに食べカスが溜まって腐敗し、臭いが発生します。
虫歯が進行して、膿が溜まったり神経が侵されたりすると、口臭がきつくなります。
5-3.夜間口腔乾燥症(ドライマウス)
加齢やストレスなどが原因で唾液の分泌量が減り、口や喉が乾燥してしまう病気です。
1日に分泌される唾液の量が、健康な人に比べると少なくなるため、唾液による殺菌が不十分となり、口臭が発生します。
【参考情報】『口の中が乾燥する』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/kanso/
5-4.糖尿病
糖尿病になると、糖の代謝がうまくできなくなるため、代わりにタンパク質や脂肪を分解してエネルギーが作られます。その過程で、ケトン体という物質が産生されます。
ケトン体の中には、アセトンという物質が含まれているのですが、この物質が口臭の原因となります。
5-5.肝機能低下
肝臓には、体の中の老廃物を分解する働きがあります。
肝臓の機能が落ちると、十分に老廃物を分解できず、分解しきれなかった老廃物が血液の中に流れ、肺から体外に排出されます。
老廃物の臭いは、気道を通って口から出るため、口臭が発生することがあります。
5-6.気管支拡張症
気管支が何らかの原因で広がって、元に戻らなくなる病気です。
この病気になると、咳や痰などの症状が出るのですが、大量に痰が出て、しかも出しにくいため、痰の臭いが口から出て息がくさくなることがあります。
5-7.その他の病気
その他、鼻の病気や胃の病気でも、口臭が発生する場合があります。
また、本当はくさくないのに、口臭や体臭がひどいと思い込んでしまう「自臭症」という病気もあります。
6.おわりに
朝起きたときに、口臭や喉の渇きを感じることが多いなら、いびきが原因かもしれません。
もし、いびきの原因が睡眠時無呼吸症候群だった場合、治療によっていびきが改善します。
いびきをなくすための対策を行ってもよくならない場合、病院で検査を行い、原因を調べましょう。
治療によりいびきがよくなれば、睡眠中に口を開けてしまうことが少なくなり、口臭も気にならなくなるでしょう。