喘息治療に用いる薬「スピロペント」の特徴と効果、副作用
スピロペントは、喘息の治療に用いる錠剤です。気管支を広げて呼吸を楽にしたり、アレルギーによる気道の炎症を抑える効果があります。
喘息のほか、咳喘息や気管支炎などでしつこい咳が出るときにも、よく処方される薬です。
この記事では、スピロペントの服用方法や副作用、注意事項などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。
1.スピロペントとはどのような薬か
スピロペントは、「クレンブテロール塩酸塩」という成分を配合した持続性の気管支拡張剤です。クレンブテロール塩酸塩には、気管支の筋肉にあるβ2受容体という部分を刺激するはたらきがあります。
喘息の発作が起きると、気管支が狭くなって呼吸がしにくくなり、息苦しくなることがあります。スピロペントは、気管支の筋肉を緩めて広げ、呼吸を楽にします。
喘息は、アレルギーが原因で引き起こされることが多い病気ですが。スピロペントには、アレルギー症状を和らげる効果も認められています。
また、スピロペントには、膀胱の筋肉をゆるめながら尿道を閉めやすくするはたらきもあります。そのため、お腹に力を入れたときに尿が漏れてしまう腹圧性尿失禁にも効果を示します。
◆「咳喘息とはどのような病気か?原因・症状・治療について」>>
◆「咳が止まらない。もしかして、気管支炎かもしれません」>>
【参考情報】『Clenbuterol Hydrochloride』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28431781/
2.スピロペントの使い方
スピロペントは、成人・子ども(5歳以上)ともに、1日2回、朝と夜寝る前に、水かぬるま湯で服用します。
成人は、1回2錠(20μg)、子どもは体重に合わせて服用量を調整します。
スピロペントは、症状が強い際に頓服(とんぷく)で飲むこともあります。頓服でスピロペントを処方されたら、例えば強い咳が出たときなど、医師の指定したタイミングで服用しましょう。
成人の場合、頓服としての服用量は、通常1回20μg(10μg錠を2錠)です。
スピロペントは、年齢や症状などによって服用の仕方が異なるため、必ず医師の指示どおりに服用してください。
必要以上に服用すると、動悸や手足のふるえといった副作用が出やすくなってしまいます。
3.スピロペントの副作用
スピロペントを服用した際、次のような副作用が起こることがあります。副作用がひどいと感じる場合は、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
・動悸、ドキドキ感
・手足のふるえ
・頭痛
・不眠
・吐き気
また、めったにありませんが、血清カリウム値の低下という重い副作用が出ることがあります。
スピロペントを服用して以下の症状が出たら、すみやかに病院を受診してください。
・体に力が入らない
・脈の乱れ
スピロペントと一緒にほかの薬を飲むと、その薬の影響で副作用が出やすくなることがあります。
例えば、以下のような喘息の治療薬とスピロペントを一緒に服用すると、副作用が出やすくなります。
使用中の薬剤がある方は、スピロペントと一緒に服用しても問題ないかどうか、医師や薬剤師に確認してください。
4.使用上の注意点
スピロペントは、胎盤を通過したり母乳に移行したりするため、通常、妊娠中・授乳中の方には処方しません。また、赤ちゃんや4歳未満の子どもにも使わない薬です。
妊娠中やその可能性のある方、授乳中の方は医師に相談してください。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/asthma-during-pregnancy/
また、尿が出にくい症状のある方は、尿がまったく出なくなる副作用を起こすことがあるため、やはり服用できません。
バセドウ病など甲状腺に関する疾患や、高血圧、心臓病、糖尿病の方は、スピロペントを服用することで症状の悪化を招く恐れがあります。
スピロペントは服用回数が多くなると、動悸などの副作用が出やすくなります。症状が良くならないからといって、頓服で出してもらったスピロペントを飲み過ぎてしまうと、副作用が出る恐れがあるので注意しましょう。
市販の咳止め薬や風邪薬、鼻炎薬の中には、スピロペントと同じような効果のある成分が配合されています。
市販薬とスピロペントを同時に服用すると、動悸や手足のふるえなどの副作用が起きやすくなります。スピロペントを服用する方は、市販薬を購入する前に、薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。
5.スピロペントの薬価
スピロペントの薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。
・スピロペント錠10μg 8.3円/錠
スピロペントの代わりとなるジェネリック医薬品・クレンブテロール錠「ハラサワ」の薬価は、以下のとおりです。
・クレンブテロール錠10μg「ハラサワ」 5.8円/錠
市販薬には、スピロペントとまったく同じ成分のものはありません。しかし、β2刺激薬を配合した「アスクロン」という咳止めの薬が販売されています。
アスクロンは、気管支を広げることにより、風邪によるつらい咳を和らげる効果があります。ただし、気管支の炎症を抑える成分は配合されていないため、喘息には効果がありません。
喘息治療中の方は、市販薬は使わずに、病院で治療薬を処方してもらいましょう。
6.おわりに
スピロペントと同じような効果があるβ2刺激薬には、以下のようなものがあります。
・メプチン
医師は患者さんの年齢や体調を見ながら薬を処方していますが、もし「薬が合わない」「飲みにくい」という悩みがあれば、ほかの薬が使えないかどうか相談してみましょう。