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インフルエンザ治療薬「タミフル」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年08月06日

タミフルは、インフルエンザの治療に用いる薬です。

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染により、高熱や強い倦怠感、関節痛などの症状があらわれる感染症です。

タミフルは、インフルエンザウイルスが増えるときに必要な酵素・ノイラミニダーゼの働きを妨げて、症状を緩和したり予防したりします。

この記事では、タミフルの使い方や副作用、使用上の注意点について解説します。

1.タミフルとはどのような薬か


タミフルには、オセルタミビルリン酸塩という成分が配合されています。カプセルとドライシロップの2つのタイプがあり、生後2週目の乳児から大人まで使用できる薬です。

インフルエンザA型・B型に有効で、インフルエンザウイルスが体内で増えていくのを抑えます。

インフルエンザウイルスは、体の細胞内に侵入すると、新しいウイルスをつくっては細胞の外へと拡散し、どんどん増殖していきます。

タミフルは、インフルエンザウイルスが細胞の外へ拡散するときに必要な酵素・ノイラミニダーゼのはたらきを阻害して、増殖を防ぎます。

ウイルスが増えてしまってから服用しても効果はないため、発熱などの症状が出てから48時間以内に服用を開始する必要があります。

タミフルは、インフルエンザの予防にも使用できます。65歳以上の方や慢性呼吸器疾患などの特定の病気を治療中の方は、同居している人がインフルエンザにかかってしまった場合、予防のためにタミフルを服用することができます。

ただし、予防のために服用する場合は、保険適応外となります。

【参考情報】『Tamiflu: Consumer Questions and Answers』U.S. FDA(Food and Drug Administration)
https://www.fda.gov/drugs/postmarket-drug-safety-information-patients-and-providers/tamiflu-consumer-questions-and-answers

◆「抗インフルエンザ薬の予防投与」について>>

◆「インフルエンザの治療薬」について>>

2.タミフルの使い方


タミフルは、インフルエンザの治療と予防で服用方法が異なります。

また、年齢や体重によっても服用する量が異なるため、医師に指示されたとおりの方法・量で服用しましょう。

2-1.インフルエンザ治療の場合

基本的には、成人は錠剤1錠を、1日2回、計5日間服用します。

子どもの場合、新生児・乳児は体重1kgあたり3mg(ドライシロップは体重1kgあたり100mg)、幼児・小児は体重1kgあたり2mg(ドライシロップは体重1kgあたり66.7mg)を1日2回、5日間服用します。

ただし、体重が37.5kg以上の子どもは、成人と同じ方法で服用します。

2-2.インフルエンザ予防の場合

成人と体重37.5kg以上の子どもは、錠剤1錠を1日1回、計7〜10日間服用します。

体重37.5kg未満の子どもは、体重1kgあたり2mg(ドライシロップは体重1kgあたり66.7mg)を1日1回、計10日間服用します。

乳児は、予防のために服用することはありません。

3.タミフルの副作用


タミフルの主な副作用は、以下となります。

 ・胃腸症状(腹痛・吐き気・お腹が張る)

 ・食欲不振

 ・眠気または不眠

 ・口内炎

 ・倦怠感

タミフルには、ほかにもさまざまな副作用があります。上記以外にも気になる症状が出たら、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。

【参考情報】『タミフル使用上の注意』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/medical/090511-02.html

また、めったにありませんが、次のような重い副作用が起こる可能性もあります。

  ・アナフィラキシー

  ・肺炎

  ・肝機能障害

  ・腎機能障害

  ・精神症状

  ・異常行動

以前、タミフルを服用した中学生がマンションから転落するといった異常行動が報道され話題となりましたが、必ずしもタミフルが原因というわけではないという調査結果が近年出ています。

幻覚や飛び降りなど異常行動の原因は、タミフルではなく、インフルエンザにかかったことで起こる可能性があるため、薬を飲まなくても同じような症状が現れることがあります。

家族や同居人がインフルエンザにかかった場合、少なくとも2日間は1人にさせない配慮が必要です。

【参考情報】『タミフルと異常行動等の関連に係る報告書』厚生労働省医薬品等安全対策部会
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000341848.pdf

4.使用上の注意点


タミフルは、動物実験では胎盤を通過することが報告されていますが、胎児への影響はほぼないと考えられています。妊娠中の方や、妊娠している可能性のある方がタミフルを服用する場合、心配であれば医師に相談してください。

【参考情報】『抗インフルエンザウイルス薬投与時の 妊婦の安全性について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vftu-att/2r9852000001vg5t.pdf

また、腎機能障害のある方や、血液が固まるのを防ぐワルファリンという薬を服用中の方に対しても、慎重に投与すべき薬です。

タミフルは、服用する日数が5日間と決まっています。十分な効果を得るためにも、副作用が起きた場合を除き、きちんと医師の指示どおりに服用し、飲み切ってください。

5.タミフルの薬価


タミフルの1カプセル・1gあたりの価格(2024年8月調べ)は次のとおりです。

 ・タミフルカプセル75 205.8円/カプセル

 ・タミフルドライシロップ3% 132円/g

また、タミフルにはジェネリック医薬品があります。ジェネリック医薬品の薬価は次のとおりです。

 ・オセルタミビルカプセル75mg「サワイ」 111.6円/カプセル

 ・オセルタミビルDS3%「サワイ」      82.4円/g

 ・オセルタミビル錠75mg「トーワ」    111.6円/錠

タミフルをはじめとしたインフルエンザの治療薬は、市販されていないので、病院で処方を受ける必要があります。

6.おわりに

インフルエンザの治療薬には、タミフルのほか、リレンザやイナビル、ゾフルーザなどがあります。

◆「リレンザ」について詳しく>>

◆「イナビル」について詳しく>>

◆「ゾフルーザ」について詳しく>>

インフルエンザは、風邪とよく似た症状が出る病気ですが、風邪よりも症状が重くなりがちです。

高熱や強い倦怠感があり、インフルエンザを疑う場合は、早めに病院を受診して治療薬を服用すると、回復が少し早くなる可能性があります。

インフルエンザと診断された場合は、薬の服用のほかに、周囲にうつさないためにも外出は控え、十分な休養をとり免疫機能を高めること・こまめな水分補給をおこない、高熱により生じる汗での脱水を防ぐこと・栄養バランスの取れた食事で免疫機能をさげないようにすることも回復のために大切です。

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