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いびきとアレルギーの関係とは?原因と対処法を紹介

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2024年06月18日

いびきは、アレルギーの影響でひどくなる可能性があります。

花粉が飛散する季節にいびきが悪化したり、ペットと一緒に寝るといびきが発生する場合、もしかすると、アレルギーが関与しているかもしれません。

この記事では、いびきの主な原因やアレルギーとの関連について説明します。

いびきに悩む方が自分でできる対策も解説していますので、ぜひご参考にしてください。

1.いびきの主な原因


いびきは、空気の通り道である気道が狭くなることで起こります。

狭くなった気道を、空気が無理に通り抜けようとして勢いよく加速するため、音が出るのです。

以下、いびきをかいてしまう主な原因について説明します。

1-1.疲労やストレス

疲労やストレスが蓄積すると、体は眠っている間に筋肉をほぐして回復を促そうとします。

その際、のど周囲の筋肉も緩んでしまうことで気道が狭くなり、いびきが出やすくなります。

1-2.飲酒

お酒を飲むと、アルコールの作用により、筋肉が緩んでしまいます。すると、のど周囲の筋肉も緩むため気道が狭くなり、いびきの原因となります。

特に、寝る直前の飲酒、いわゆる寝酒は、いびきの悪化につながります。

1-3.肥満による気道の狭窄

肥満体型になると、のどや舌にも脂肪がつきます。

そのため、気道が脂肪に圧迫されたり、脂肪がついて重くなった舌が気道に落ち込んだりすることで気道が狭くなり、いびきが出やすくなります。

1-4.鼻づまり

風邪や副鼻腔炎などにより鼻が詰まると、無意識のうちに口を開けて呼吸をするようになります。

口呼吸になると、舌が気道に落ち込みやすくなり、いびきが多くなります。

2.アレルギーによる病気


アレルギーとは、ある特定の物質に対して体が過剰に反応することで、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。

私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物から体を守る仕組みが備わっています。これを免疫と言います。

この免疫反応が、普通であれば問題のない物質に対してまで過敏に反応して攻撃することで、咳や鼻水、皮膚のかゆみなどの症状が現れるのです。

以下、アレルギーに関係する病気について説明します。

2-1.喘息

空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こっていることで、咳や息苦しさが現れる病気です。

喘息には、アレルギーが原因のものと、タバコやストレスなどアレルギー以外の原因のものがあります。

アレルギーが原因の喘息は、ダニやカビ、ペットの毛などによって症状が引き起こされます。

◆「喘息」について詳しく>>

2-2.アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が現れ、悪化したり改善したりを繰り返す皮膚の病気です。

アレルギーを起こしやすい素因(アトピー素因)を持った人に多くみられます。

【参考情報】『アトピー性皮膚炎診断ガイドライン2021』日本皮膚科学会雑誌 第131巻第13号
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2021.pdf

2-3.花粉症

スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉に反応して、鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が現れる病気です。

◆「花粉症」について詳しく>>

2-4.アレルギー性鼻炎

アレルゲンを吸い込むことで鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻水や鼻づまり、くしゃみなどが起こる病気です。

原因となるアレルゲンは、ダニやハウスダスト、花粉などがあります。

【参考情報】『Allergic Rhinitis (Hay Fever)』Clevelanc Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8622-allergic-rhinitis-hay-fever

2-5.食物アレルギー

特定の食べ物を摂取した時にアレルギー反応が起こり、咳や下痢、皮膚のかゆみ、口やのどの腫れなどの症状が現れる病気です。

原因となる主な食べ物は、卵、乳、小麦ですが、果物やナッツ、魚介類で起こる人もいます。

【参考情報】『即時型食物アレルギーの 症状と対応』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/pdf/archives_31321_02.pdf

3.アレルギーの症状がいびきを悪化させる理由


アレルギーが引き起こす症状により、睡眠中に気道が狭くなると、いびきが出やすくなります。

3-1.鼻づまり

アレルギー性鼻炎や花粉症で鼻が詰まると、鼻の通りが悪くなるため、口を開けて呼吸をするようになります。

口呼吸になると、舌が気道に落ち込んで気道がふさがれ狭くなるため、いびきが出やすくなります。

また、ホコリなどのアレルゲンが口から体内に侵入しやすくなるので、アレルギー反応がひどくなることがあります。

3-2.睡眠の質の低下

アレルギーによって咳や鼻づまり、かゆみなどの症状がひどくなると、熟睡できなくなるので、睡眠の質が下がります。

睡眠の質が下がって十分な休息が得られないと、体は回復を促そうとして筋肉を緩めます。その結果、気道の筋肉がゆるんで狭くなり、いびきの原因となります。

3-3.口蓋垂・扁桃腺の腫れ

花粉などのアレルギーにより、口蓋垂(のどちんこ)や扁桃腺が腫れると、気道が閉塞しやくなります。

気道が閉塞すると空気が通りにくくなるため、いびきの原因となります。

4.アレルギーによるいびきを防ぐ方法


いびきのがアレルギーの影響で出ている場合の予防法を説明します。

4-1.アレルギー性疾患の治療

アレルギー性鼻炎など、アレルギーが原因の病気だと診断されている人は、適切な治療を受けましょう。

アレルギー性疾患を疑う症状がある人も、その疑いが当たっているのかどうか、病院を受診して調べましょう。

症状が軽減されると治療を中断する人もいますが、アレルギー性疾患には持続的な治療が必要です。

治療により、次第に鼻づまりなどの症状が和らぐと、いびきの改善に繋がります。

4-2.寝室や寝具からアレルゲンを除去する

布団やベッドには、睡眠中に出た汗や皮脂が溜まるので、ダニやカビが発生しやすくなります。

寝具はこまめに洗濯するとともに、寝室の掃除や換気も定期的に行い、アレルギーの原因となる物質を取り除きましょう。空気清浄機を使用するのもよいでしょう。

◆「喘息に空気清浄機は効果があるのか?」>>

4-3.ペットは寝室に入れない

ペットの毛やフケなども、アレルギーを引き起こす原因となります。

寝室は、もともとアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が溜まりやすい場所です。そこで、ペットが寝そべったり遊んだりしていると、さらにアレルゲンが増えていきます。

ペットと一緒に眠りたいという気持ちは理解できますが、アレルギーの症状を緩和するためには、寝室は分けることをおすすめします。

◆「喘息でもペットを飼いたい人の対策と注意点」>>

4-4.お酒を控える

お酒を飲むと、アルコールの作用で毛細血管が広がり、鼻の粘膜が腫れることがあります。そのため、花粉症や鼻炎の患者さんは、症状が悪化する恐れがあります。

お酒を楽しみたいなら、寝る4時間前までに飲酒を終えましょう。この時間を確保することで、睡眠への影響を最小限に抑えることができます。

4-5.肥満体型の人は減量する

肥満体型になると、脂肪で気道が圧迫されて狭くなるので、いびきの原因となります。

さらに、肥満は喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など、アレルギー性疾患を悪化させる要因となることもわかっています。

標準体重をオーバーしている人は、減量により健康的な体型になると、いびきが軽減する可能性が高まります。

◆「喘息と肥満」の関係>>

5.対策しても効果が感じられない場合


これまで説明した対策を行っても効果が感じられない場合、いびきの原因は、睡眠時無呼吸症候群という病気かもしれません。

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に気道が閉塞し、呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。

この病気になると、いびきや日中の眠気、起床時の頭痛などの症状が現れます。

いびきは、音が激しく、絶え間なく繰り返されるため、一緒に寝ている家族から、「うるさい」「眠れない」と指摘されることも少なくありません。

睡眠時無呼吸症候群の診断がつけば、CPAP(シーパップ)という医療機器を用いた治療が可能になります。

治療を開始すると、いびきが軽減され、日中の眠気からも解放されます。

◆「睡眠時無呼吸症候群」について詳しく>>

6.おわりに

アレルギーによる病気がある人は、原因となる病気の治療を行うと、いびきが改善する可能性があります。

しかし、病気の治療やいびき防止対策を行ってもよくならない場合は、睡眠時無呼吸症候群が原因でいびきが出ている疑いがあります。

もし、毎晩のように激しいいびきを繰り返しているなら、睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができる病院を探して受診しましょう。

適切な治療を行えば、いびきも改善し、眠りの質量が高まります。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

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