喘息治療薬「キュバール」の特徴と効果、副作用
キュバールは、喘息の治療に用いるステロイド吸入薬です。噴霧した時の粒子がとても小さいため、気管支の細い部分にまで届きます。
この記事では、キュバールの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ最後までお読みください。
1.キュバールとはどのような薬か
キュバールは、ベクロメタゾンというステロイドを主成分とする吸入ステロイド薬です。吸入ステロイド薬は、気道の炎症を抑えて発作を予防する効果があります。
【参考情報】『Beclomethasone (Inhalation Route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/beclomethasone-inhalation-route/description/drg-20113003
喘息の治療薬には、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作が起こった時に鎮めるための「リリーバー(発作治療薬)」があります。
キュバールは、コントローラーにあたる薬です。コントローラーは、吸入してすぐに効果は現れませんが、使い続けることで発作を予防することができます。
じわじわ効いてくる薬なので、効果が感じられるまでには3日〜1週間ほどかかります。
2.キュバールの使い方
キュバールは、通常成人は、1回100μgを1日2回吸入、小児は通常、1回50μgを1日2回吸入します。
ただし、年齢や持病により用法・用量が変わることがあるので、持病がある方は、診察の際に医師に報告しましょう。
初めてキュバールを使う時のみ、薬剤がしっかり出るかどうかを確認するため、試し噴射を2回してください。
【キュバールの使い方】
➀口の中を空っぽにします。
➁キャップを外し、キュバールの容器を数回振ります。
➂吸入側を下にして、垂直に立てて持ちます。
④吸入器に息がかからないようゆっくり息を吐きます。
⑤下を向かないよう、背筋を伸ばします。
⑥吸入口を軽く噛み、噛んだ歯の隙間から空気が同時に入るようにくわえます。
⑦ボンベを1回押すと同時に、3秒間かけて深く薬剤を吸います。
この時、舌を下げて喉の奥を広げる感じで吸入すると、薬剤が気管支に届きやすくなります。
⑧吸入器を口から外して口を閉じ、約3〜5秒間息を止め、薬剤が肺にとどまるようにします。
⑨ゆっくり鼻から息を吐きます。
「2回吸入してください」と指示された場合は、①~⑧の手順を繰り返します。
⑩指示された吸入回数が完了したら、キュバールの吸入口(口や息が触れた部分)を、ティッシュなどで拭きます。
⑪キュバールのキャップを閉めます。
⑫口の中をゆすぐうがいを3回、喉の奥までゆすぐうがいを3回します。
うがいができない場合は、水分を口に含んでゆすいでから飲み込んでください。
お子さんや高齢者は、キュバールを噴霧するタイミングと合わせて呼吸をするのが難しいことがあります。
そのような時は、「スペーサー」という補助器具をキュバールの吸入口に取り付けると、ラクにできるようになります。乳児向けに、マスクタイプのスペーサーもあります。
また、指の力が弱い方は、少ない力でも吸入器のボンベが押せる補助用具もあります。
キュバールの容器(アダプター)は、ボンベとキャップを外し、週1回流水かぬるま湯で洗って乾燥させ、清潔にして保管します。
洗浄や乾燥が不十分だと、噴霧不良の原因になります。
【参考情報】『成人編吸入動画 エアゾール製剤【解説編】』環境再生保全機構
https://www.youtube.com/watch?v=fX5Dbl-jkVc
3.キュバールの副作用
キュバールの主な副作用として、他の吸入ステロイド薬と同様に、嗄声(声のかすれ)や口腔カンジダ症があります。
【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05
これらの副作用は、吸入後のうがいによって予防できます。
外出先などでうがいが難しい場合は、水やお茶を口に含んで飲み込み、口や喉に付着した薬剤を洗い流してください。
また、以下のような副作用が現れることもあります。
・鼻からの出血
・咳
・喉の痛みや違和感
このような症状があれば、かかりつけの医師または薬剤師に相談してください。
4.使用上の注意点
キュバールは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。
吸入を忘れたときは、気がついた時に忘れた1回分を吸入します。ただし、次に吸入する時間が近い場合は、忘れた分は吸入せずに、次の分から指示されたとおりに吸入してください。
キュバールは、男性の夜間頻尿治療薬・デスモプレシンと併用することはできません。デスモプレシンをお使いの方は、必ず医師に報告してください。
【参考情報】『Desmopressin nose spray』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/drugs/19215-desmopressin-nose-spray
また、過去にキュバールを吸入して38度以上の発熱を伴う皮疹(皮膚の腫れやできもの)などがみられた方も、使うことはできません。
病院を受診する際は、お薬手帳を持参して内服中の薬を伝えましょう。過去にキュバールの使用歴がある方は、その時に異常があったかどうかも伝えましょう。
キュバール1缶で噴霧できる回数は100回なので、それ以上は使用しないでください。噴射が弱くなったら、新しい吸入器に替えてください。
妊婦または妊娠の可能性がある方は、症状を診ながら薬剤の投与を検討するため、必ず医師に相談してください。
【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://www.aafa.org/asthma-during-pregnancy/
5.キュバールの薬価
キュバールの薬価(2024年8月調べ)は、以下の通りです。
・キュバール50エアゾール 1513.4円/瓶
・キュバール100エアゾール 1944.9円/瓶
キュバールの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。
6.おわりに
キュバールと同じような、喘息治療用の吸入ステロイド薬には、以下のようなものがあります。
・オルベスコ
キュバールを使っても症状が良くならない人や、使いにくいと感じる人は、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。