喘息発作の治療薬「ブリカニール」の特徴と効果、副作用
ブリカニールは、喘息発作の治療に用いる薬です。
錠剤とシロップ(水薬)の2種類があり、乳幼児には飲みやすいシロップが処方されることが多いです。また、病院では注射をすることもあります。
この記事では、ブリカニールの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ最後までお読みください。
1.ブリカニールとはどのような薬か
ブリカニールは、テルブタリン硫酸塩という成分を含んだ薬で、喘息発作の治療に用います。
【参考情報】『Terbutaline』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682144.html
喘息発作のほか、慢性気管支炎、喘息性気管支炎、気管支拡張症などの治療に使われることもあります。
テルブタリン硫酸塩は、気管支の筋肉にある「β受容体」というタンパク質の一種を刺激して気管支を広げ、呼吸をラクにします。
β受容体は心筋にもありますが、ブリカニールは気管支筋のβ受容体を選んで刺激するため、心筋を刺激する作用が少ないのが特徴です。
喘息の治療薬には、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作が起こった時に鎮めるための「リリーバー(発作治療薬)」があります。ブリカニールは、リリーバーにあたる薬です。
2.ブリカニールの使い方
ブリカニールの基本的な服用方法を、錠剤とシロップに分けて説明します。
2-1.錠剤
ブリカニール錠は、通常、1日3回服用します。水かぬるま湯と一緒に飲んでください。
・成人:2錠(4mg)
・6歳以上の小児:1錠(2mg)
・5歳以下の幼児:1/2錠(1mg)
※( )内:テルブタリン硫酸塩としての用量
2-2.シロップ
シロップは、通常、1日3回服用します。カップなどで1回分をきちんと量って飲んでください。
年齢別1日の用量の目安は、以下の通りです。
・0.5歳〜1歳未満:3〜4mL(1.5〜2mg)
・1歳〜3歳未満:4〜6mL(2〜3mg)
・3歳〜5歳未満:6〜8mL(3〜4mg)
・5歳〜7歳未満:8〜10mL(4〜5mg)
※( )内:テルブタリン硫酸塩としての用量
シロップは無色透明で、淡い甘みのある味なので、乳幼児でも飲みやすいでしょう。
3.ブリカニールの副作用
ブリカニールの副作用には、以下のようなものがあります。
・動悸
・手指の震え
・頻脈
・発疹
めったにないことですが、アナフィラキシーなどの重篤な副作用が現れることもあるので、初めて使う際には注意しましょう。
特に乳幼児に飲ませる時は、保護者の方は注意深く様子を観察してください。
4.使用上の注意点
ブリカニールは、過去にブリカニールを服用して発疹や発熱(38.0℃以上)などの過敏症が現れたことのある方は、二度と飲んではいけません。
過去にブリカニールを使用したことがある方、過敏症の既往がある方は、必ず医師に伝えてください。
ブリカニールは、併用する薬剤によっては重篤な副作用を引き起こす恐れがあります。内服中の薬がある方は、お薬手帳を持参して、必ず医師に服用中の薬を知らせてください。
例えば、交感神経を刺激するカテコールアミン製剤は、ブリカニールと同様にβ受容体を刺激する作用があるため、併用すると効果が強くなり過ぎて、心臓に悪影響を及ぼす恐れがあります。
【参考情報】『カテコールアミン』日本薬学会
https://www.pharm.or.jp/words/word00515.html
また、キサンチン誘導体であるテオフィリンやアミノフィリン、ステロイド剤、利尿剤と併用すると、低カリウム血症を起こし、不整脈が現れる危険があります。
ほかにも、β遮断薬であるアテノロールやビソプロロールフマル酸塩は、ブリカニールの効果を弱めることがあります。
【参考情報】『β遮断薬(べータブロッカー)』日本心臓財団
https://www.jhf.or.jp/check/term/word_h/beta/
甲状腺機能低下症、高血圧、心疾患、糖尿病を患っている方は、ブリカニールの投与は慎重に行う必要があります。これらの既往がある方は、必ず医師に伝えてください。
用法・用量通り内服しても症状の改善がみられない場合は、病院を受診してください。薬の効果が感じられないからといって2回分を一度に飲むと、副作用が起こる危険があるため、絶対にしてはいけません。
ブリカニールの「シロップ」は、ステンレス・アルミ以外の金属(鉄、銅など)に接触すると変色することがあります。
妊婦または妊娠の可能性がある方は、症状を診ながら薬剤の投与が適当かどうか判断する必要があるので、必ず医師にご相談ください。
5.ブリカニールの薬価
ブリカニールの薬価(2024年8月調べ)は以下の通りです。
・ブリカニール錠2mg 5.9円/錠
・ブリカニールシロップ0.5mg/mL 6.7円/mL
ブリカニールの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。
6.おわりに
喘息発作時の呼吸困難を改善する薬には、ブリカニールのほかに以下のものがあります。
・メプチン
ブリカニールを服用しても発作が治まらない場合に備え、「どのタイミングで病院を受診をするのか」「どのような状況になったら救急車を呼ぶのか」など、主治医に確認しておきましょう。