喘息治療に用いるステロイド薬「コートリル」の特徴と効果、副作用
コートリルは、「経口ステロイド薬」に分類される錠剤です。喘息の症状が思うようにコントロールできない時に、一時的に服用することがあります。
コートリルは、炎症やアレルギー(免疫)反応をしっかり抑えて喘息の症状を効果的にやわらげますが、全身の副作用も多いという側面があります。
この記事では、コートリルの特徴や使い方、副作用などについて解説します。使用上の注意点もよく確認しながら服用しましょう。
1. コートリルとはどのような薬か
コートリルは、ヒドロコルチゾンというステロイド成分を配合した経口ステロイド薬です。免疫を抑える薬として、皮膚疾患や関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などさまざまな疾患の治療に使われています。
【参考情報】『Hydrocortisone』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a682206.html
喘息の治療では、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬など、他の喘息治療薬では症状をコントロールできない場合に、一時的に服用することがあります。
喘息の治療に使われる吸入ステロイド薬は、気道に直接作用するように設計されているので、それ以外の部位にはほとんど影響がありません。そのため、副作用も少なくなります。
しかし、コートリルのような経口ステロイド薬は、飲み薬なので全身に作用します。そのため、体内の炎症やアレルギー反応を強く抑える一方、副作用も全身に現れることがあります。
2.コートリルの使い方
コートリルは、基本的に大人のみ服用します。1~12錠(ヒドロコルチゾンとして10〜120mg)を、1日に1〜4回にわけて、水かぬるま湯で服用します。
コートリルのような経口ステロイド薬は、長い期間にわたって飲み続けると、体重増加や胃潰瘍、感染症などの副作用が起こりやすくなります。そのため、喘息の治療で用いるときは、なるべく短期間だけ服用するのが一般的です。
ここでは一般的な服用方法について解説しましたが、詳細については医師に確認し、指示されたとおりに服用しましょう。
3.コートリルの副作用
コートリルの主な副作用は以下となります。
・体重増加
・ニキビ
・頭痛
・発熱
・疲労感
・不眠
また、他の薬と比べて重篤な副作用も多く、以下のような症状が現れることもあります。
・感染症
・白内障、緑内障
・胃潰瘍
・骨粗しょう症
・糖尿病
経口ステロイド薬は効果が強い反面、副作用も多い薬です。服用中に体調が悪化したら我慢せず、必ず医師に相談してください。
また、長期間服用すると、重篤な副作用を起こすリスクが高まるため、病院で定期的に検査を受けて体調をチェックしてください。
4.使用上の注意点
コートリルにはさまざまな副作用があり、服用できる人も限られています。喘息以外の持病がある人は、コートリルの服用が適さないこともあるので、治療中の疾患や服用中の薬があれば、必ず医師に伝えてください。
例えば、男性で夜間頻尿治療薬のミニリンメルト(成分名:デスモプレシン酢酸塩水和物)を服用中の方は、コートリルを服用してはいけません。
コートリルの服用量によっては、BCGワクチンや麻疹・風疹ワクチンなどの生ワクチンや弱毒化生ワクチンを接種できないことがあります。
【参考情報】『日本で接種可能なワクチンの種類』国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/vaccine-j/249-vaccine/589-atpcs003.html
妊娠・授乳中の方は、基本的にはコートリルを服用しません。コートリルの成分は、胎児や母乳に移行するため、赤ちゃんに影響が出る恐れがあるからです。
コートリルを長期間服用する場合には、感染症にかからないよう、手洗いやマスク着用などの基本的な対策を忘れずに行いましょう。
万が一、何らかの感染症にかかった場合には、すみやかに医療機関を受診してください。
体調がよくなったからといって、コートリルの服用を急にやめると、副作用や体調悪化のリスクが高くなります。必ず医師の指示どおりに服用して、自己判断で薬を中断しないようにしてください。
5.コートリルの薬価
コートリルの薬価(2024年8月調べ)は以下となります。
・コートリル錠10mg 7.4円/錠
コートリルには代わりになるジェネリック医薬品や市販薬はありません。
喘息の治療は、市販薬ではできません。喘息で「咳が激しい」などの症状が出た場合、市販の咳止め薬を服用しても効果がないので、自己判断での服用は避けましょう。
6.おわりに
コートリルが合わない場合、プレドニン(成分名:プレドニゾロン)やリンデロン(ベタメタゾン)などの経口ステロイド薬が代わりに処方されることがあります。
喘息は、肥満やアルコール、感染症などの要因で悪化しやすいとされています。経口ステロイド薬により症状が落ち着いたら、生活習慣を整え、なるべく吸入ステロイド薬で症状をコントロールできるよう、体調を管理していきましょう。