喘息と血圧にはどんな関係がある?
年齢を重ねるにつれて、徐々に健康診断での血圧の数値が上がっているという人も多いのではないでしょうか。
高血圧は日本人にも多く見られる代表的な生活習慣病で、厚生労働省が発表した「平成24年国民健康・栄養調査」によれば、20歳以上の男性では約3人に1人、女性では約4人に1人が、収縮期(最高)血圧140mmHgを超える状態、つまり、高血圧であるといわれています。
特に30代後半から40代にかけて、ホルモンのバランスが崩れて自律神経が乱れるなど、血圧が大きく変動しやすくなります。また、血管の細胞も徐々にダメージを受けてくるため、自分では気が付かない間に血圧が“危険域”に達しているということもあります。
そんな血圧ですが、喘息と少なからず繋がりがあることはあまり知られていません。この記事では、喘息と血圧にはどのような関連性があるのかについてお伝えします。
1.喘息と血圧の関係
医師向けの高血圧の治療指針である『高血圧治療ガイドライン』には、「喘息発作は患者にとって大きなストレスであり、発作によって血圧が上昇することがある」と記載されています。
このように治療指針にも喘息と血圧の関係性は明記されていますので、喘息をお持ちの方は血圧の変化にも注意しておく必要があります。
【参考情報】『高血圧治療ガイドライン2019』日本高血圧学会
https://www.jpnsh.jp/guideline.html
1−1.喘息発作が血圧に与える影響
興奮すると血圧が上がるというのはよく知られているように、身体的、精神的に負荷(プレッシャーやストレス)がかかることで血圧は高くなります。
【参考情報】『Stress and high blood pressure: What’s the connection?』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/high-blood-pressure/in-depth/stress-and-high-blood-pressure/art-20044190
喘息発作があると、身体的・精神的に非常に強いストレスを受けます。そのため、体は苦しみから開放されるために血圧を上げて身を守るように反応します。
特に、もともと高血圧を患っている方が喘息発作によって激しい咳や動機に見舞われることで、血圧は著しく上昇する恐れがあります。
だからこそ、喘息の病態をきっちりとコントロールし、喘息発作が起こらない生活スタイルを構築しておく必要があります。
1−2.成人後の喘息で脳卒中や心疾患のリスクが上がる?
成人後の喘息が脳卒中や心疾患のリスクとなることも報告されています。
成人期以降に発症した喘息と心血管疾患の関連性について調べた米ウィスコンシン大学の研究結果によると、成人期以降に喘息を発症した人は、18歳未満に喘息を発症した人や喘息のない人よりも、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高いことがわかりました。
【参考情報】『Late-Onset Asthma Predicts Cardiovascular Disease Events: The Wisconsin Sleep Cohort』University of Wisconsin
https://sleepcohort.wisc.edu/wp-content/uploads/sites/1452/2020/10/tattersall2016.pdf
このように、高血圧や糖尿病などの生活習慣病が脳卒中などのリスクとなるだけではなく、成人喘息も脳卒中のリスクとなる可能性があります。
これは血圧と喘息の直接の関係性ではありませんが、脳卒中などの大きな疾患を予防するためには、血圧と喘息、双方のコントロールが非常に重要となります。
3.おわりに
成人喘息の方の場合、喘息の管理はもちろん、血圧を始めとする生活習慣病のマネージメントや経過観察もとても重要になります。
喘息発作を起こさせないことはもちろんですが、生活習慣病を発症させない、悪化させないためにも、喘息でお悩みの方は、早めに呼吸器専門医への受診を行いましょう。