0歳児が喘息で入院になる基準は?注意したい症状と入院後の治療について
喘息と診断されたお子さんがいるご家庭では、「発作が起こったらどうすればいい?」「喘息で入院するのはどんなとき?」といった不安や疑問があるのではないでしょうか。
この記事では、0歳児が喘息で入院する基準や、入院後の治療について解説します。もしものときに備えて、喘息発作の種類や注意すべき症状の見分け方についても知っておきましょう。
目次
1.0歳児が喘息で入院になる基準
喘息発作は、発作の程度によって、小発作から呼吸不全までの4段階に分けられます。2歳未満の子どもが入院になるのは、原則として中発作以上の発作を起こしたときです。
「喘息発作かな?」と思ったら、お子さんの様子を注意深く観察して、早めの受診を心がけましょう。
【参考情報】『Asthma and Babies/Small Children』Asthma Initiative of Michigan
https://getasthmahelp.org/infant-public.aspx
2.入院が必要なのは「中発作」以上のとき
中発作を起こすと、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴(ぜんめい)と呼ばれる異常な呼吸音が、はっきりと聞こえます。喘鳴は、空気の通り道である気道が狭くなって、呼吸がしにくくなっているというサインです。
また、息を吸うときに胸がへこむ陥没呼吸や、肩を動かしながら苦しそうに呼吸する様子が見られます。
あやしても機嫌が悪く、興奮して泣き止まなかったり、ひどく咳き込んで、嘔吐したりすることもあるでしょう。体を起こしている方が楽に呼吸できるため、横になるのを嫌がり、抱っこやお座りで過ごすことを好みます。
2歳未満の子どもが中発作を起こしたときには、まず気管支拡張薬や、酸素投与による治療を行います。発作がおさまらなかったり、悪化したりするときには、入院してステロイド薬などを使用した治療を受ける必要があります。
【参考情報】『ぜん息などの情報館』独立行政法人環境再生保全機構
Q2-1 ぜん息発作の程度は、どのように見極めるのでしょうか?
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/child/09_02_01.html
3.赤ちゃんが息苦しいときのサインと受診の目安
発作の程度を見分けるのが難しく、悩むこともあるでしょう。下記のような様子がお子さんに見られたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
・呼吸や脈が速くなり、苦しそうにしている
・息を吸うと、のどや鎖骨、肋骨などが明らかにへこむ
・「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音や、うなるような声が聞こえる
・咳き込んで眠れなかったり、嘔吐したりする
・母乳やミルクなどをあげても飲まず、水分がとれない
・機嫌が悪く、興奮して泣き叫んでいる
・顔色や唇の色、爪の色が悪い
・ぼーっとしていて活気がない
症状がひどい場合や、夜間や休日などですぐに受診できない場合には、必要に応じて救急車を呼びましょう。医療機関を受診するまでの間は、かかりつけ医から指示されている、発作時の対応に従います。
【参考情報】『小児ぜん息基礎知識 赤ちゃんと喘息』独立行政法人環境再生保全機構
赤ちゃんが息苦しいときの症状を見逃さないようにしましょう
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/kodomonozensoku/akachan.html
4.0歳児が喘息で入院したときの治療
赤ちゃんが喘息発作で入院すると、呼吸状態を改善させるために、さまざまな治療を行います。
これまでの発作頻度や、今回の喘息発作が起こったきっかけなど、お子さんの様子をできるだけ正確に医師へ伝えましょう。
入院後の治療には、以下のような方法があります。
4−1.酸素療法
酸素を吸入して補う治療法です。全身に十分な酸素が行き渡っているかどうかを調べる、動脈血酸素飽和度(SPO2)を測定し、95%未満であれば酸素投与を行います。
4−2.輸液療法
呼吸が苦しく、飲食が十分にできない間は、水分や電解質を点滴で補うことが必要です。
また、赤ちゃんに薬を飲ませるのは難しいため、治療に使用する薬を確実に投与したいときにも点滴をします。
4−3.ステロイド薬の使用
喘息の治療薬としては、吸入ステロイド薬を使用するのが一般的です。しかし、中発作以上の喘息発作が起こったときには、速やかに気道の炎症を抑える必要があるため、点滴や内服によってステロイド薬を投与します。
4−4.気管支拡張薬の使用
大きな喘息発作が起こったときには、強い気管支拡張作用のある薬を、吸入や点滴で投与することがあります。副作用として、心臓の動きなどに影響を与える可能性があるため、0歳児への投与は慎重に行います。
退院の目安は、呼吸状態が安定し、入院前と同じくらい食事や睡眠がとれるようになることです。喘息自体が完治したわけではないため、退院後も喘息の治療が必要です。
【参考情報】『小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン』厚生労働省
P.4〜7 1.小児気管支喘息の急性発作における医療機関での治療
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/dl/tp0727-1a.pdf
5.喘息の発作を予防する方法
喘息の発作を予防するために親ができる対策には、以下のようなものがあります。
5-1.アレルゲンの除去
子どもの喘息は、多くの場合、アレルギーが原因です。特にダニアレルギーが関係していることが多いです。
ダニを取り除くためには、定期的な掃除や寝具のこまめな洗濯が重要です。ダニの死骸やフンもアレルゲン(アレルギーの原因物質)となるため、これらをしっかり除去しましょう。
ペットを飼っている人は、赤ちゃんの寝室に入れないようにしましょう。ペットの毛やフケが喘息を悪化させることがあります。
5-2.空気の質を保つ
部屋の空気がこもらないように、定期的に換気を行いましょう。空気中のアレルゲンを除去するには、空気清浄機を使用するのも効果的です。
また、部屋の湿度を40~60%に保つことで、気道の乾燥やアレルゲンの繁殖を防ぎましょう。
5-3.タバコの煙を避ける
受動喫煙は喘息を悪化させる大きな要因です。家の中や車内での喫煙は厳禁とし、外出先でも喫煙場所に近づかないよう注意しましょう。
5-4.感染症対策
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、喘息発作を誘発することがあります。手洗いやうがいを徹底し、家族全員が予防接種を受けることが推奨されます。
5-5.定期的な受診と薬の管理
かかりつけ医の指導に従い、定期的に診察を受けましょう。また、医師から処方された薬の正しい使い方を、家族全員が理解しておくことが大切です。
5-6.ストレスの軽減
赤ちゃんが興奮したりストレスを感じることが、喘息発作の引き金になることがあります。規則正しい生活リズムを保ち、赤ちゃんがリラックスできる環境を作りましょう。
6.おわりに
喘息の治療は長期間に及ぶため、親も子も負担を感じることがあるでしょう。しかし子どもの喘息は、大人になれば症状が治まることがほとんどです。
0歳のお子さんが喘息と診断されたら、服薬管理や悪化因子への対策を行って、大きな発作を予防することが大切です。乳児喘息の治療にくわしい、信頼できるかかりつけ医を見つけて、根気よく治療を続けていきましょう。