喘息の人はコーヒーを飲むべき?控えるべき?
「コーヒーが咳や喘息に良い」という話を聞いたことはありますか?
あるいは、「喘息の人はコーヒーを飲まない方がいい」という話なら耳にした、という方もいるかもしれません。
真逆の意味を持つこれらの話、実際はどうなのでしょうか。
この記事では、喘息とコーヒーの関連性について紹介します。
目次
1.喘息とはどんな病気?
喘息とは、気道に慢性的な炎症が起こり、激しい咳が出たり、息が苦しくなったりする病気です。
風邪や気管支炎などでも気道に炎症を起こして咳が出ることはありますが、この場合は一時的なものなので、回復とともに治まります。
しかし、喘息は気道の炎症がずっと続く慢性疾患ですので、長期にわたって薬でコントロールしていく必要があります。
そのため、たとえ咳や発作などの症状が出なくなっても、定期的に病院を受診して、治療薬で炎症を抑え続けることが大切です。
【参考資料】『ウルトラ図解 ぜんそく』(足立満/法研)
https://www.sociohealth.co.jp/book/detail/30260167/
2.コーヒーが喘息に効くってホント?
気道は交感神経が優位になると拡がり、副交感神経が優位になると縮んだ状態になります。
体が興奮状態のときには交感神経が働き、リラックス状態のときには副交感神経が働きます。
このメカニズムにより、喘息発作はリラックスして副交感神経が優位になっている夜などに起こりやすいと言われています。
よく知られているように、コーヒーには「カフェイン」が多く含まれていますが、カフェインを摂ると交感神経が優位になります。その結果、「コーヒーを飲んだら喘息の症状が良くなった」と感じることがあるかもしれません。
しかし、それはあくまでも一時的な作用であり、コーヒーが薬の代わりになったわけでも、治ったわけでもないのです。
【参考情報】『Coffee acutely increases sympathetic nerve activity and blood pressure independently of caffeine content: role of habitual versus nonhabitual drinking』American Heart Association
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/01.CIR.0000046228.97025.3A
3.喘息の人がコーヒーを控えたほうが良い理由
喘息をお持ちの方が日常的にコーヒーを飲むことはあまりおすすめしません。その理由について説明していきます。
3−1.喘息薬とコーヒーの飲み合わせがよくない
喘息治療薬のひとつである「テオフィリン」系の薬を使っている場合、カフェインを多く含むコーヒーを大量に飲むと頭痛や動悸などの症状が出る恐れがあります。
テオフィリン系の薬は、喘息の炎症により狭くなった気管支を拡げる働きがあり、咳や息苦しさなどを改善します。
この薬の作用とカフェインの作用は似ているため、コーヒーを飲むと、体の中でカフェインがテオフィリン系の薬と同じような働きをします。
したがって、両者を一緒に摂ると、薬の効きが強くなりすぎることがあります。
テオフィリン系の薬を飲んでいる方は、コーヒーをはじめ、緑茶や紅茶などカフェインを多く含む飲み物は控えたほうがいいでしょう。
【参考資料】『薬と食品の飲み合わせ』姫路聖マリア病院
http://www.himemaria.or.jp/maria/yakuzai/knowledge/food/
3−2.カフェインがホルモンバランスを乱す
カフェインには、ストレスホルモンとも呼ばれる「コルチゾール」の分泌を促す働きがあります。
毎日コーヒーを飲んでいると、コルチゾールを分泌する役割をもつ「副腎」が疲労してしまい、徐々にコルチゾールの分泌量が減ってしまいます。
コルチゾールには炎症を抑える働きがあるため、分泌量が減ることは喘息の症状悪化につながります。
【参考資料】『心と脳の不調は副腎ケアで整える』(本間良子,本間龍介/祥伝社)
https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=9784396316938
4.喘息の方におすすめの飲み物
水分補給が目的であれば水や白湯が適していますが、たまにはコーヒーやお茶が飲みたいときもあるでしょう。
その際は、麦茶やルイボスティー、カフェインレスコーヒーなど、なるべくカフェインが入っていないものを選ぶのがおすすめです。
5.おわりに
カフェインを多く含む飲み物を、一日に何杯も飲み続けていると、体のホルモンバランスが崩れてしまい、不調の原因となります。
特に喘息の方は、症状悪化の原因にもなりますので、コーヒーはなるべく控えるようにしましょう。