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喘息・COPD治療薬「レルベア」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)

レルベアは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いる薬で、専用のデバイス(吸入用器具)にセットされています。

2024年には、5歳~12歳未満を対象とした小児用も発売され、小児喘息のお子さんも使えるようになりました。

この記事では、レルベアの使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ読んでください。

1.レルベアとはどのような薬か


レルベアは、吸入ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルと、長時間作用性β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩が配合された薬剤です。

【参考情報】『Fluticasone and Vilanterol Oral Inhalation』MedlinePlus
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a613037.html

吸入ステロイド薬は気道の炎症を抑えて発作を予防する成分、β2刺激薬は気管支を拡げて息苦しさを和らげる成分です。

レルベアは「ドライパウダー」と呼ばれる粉末状になっていて、「エリプタ」というデバイスの中に収められています。

エリプタには、「レルベア100エリプタ」または「レルベア200エリプタ」と記載されていますが、この「100」「200」という数字は薬剤の中に含まれるステロイドの量を表しています。

また、「14吸入用」あるいは「30吸入用」とも記載されていますが、この数字はエリプタからレルベアが吸入できる回数を意味します。

喘息の治療薬には、毎日服用することで発作を予防する「コントローラー(長期管理薬)」と、発作が起こった時に鎮めるための「リリーバー(発作治療薬)」があります。

レルベアは、コントローラーにあたる薬です。コントローラーは、吸入してすぐに効果は現れませんが、使い続けることで発作を予防することができます。

◆「吸入薬」について>>

2.レルベアの使い方

レルベアは、以下の手順で1日1回、毎日吸入してください。朝・昼・夜、いつ吸入しても構いませんが、飲み忘れを防ぐためにも、時間を決めて吸入した方がいいです。

①エリプタのふたを開ける
カチッという音がするまで、しっかり開けてください。容器のカウンターを見て、数字がひとつ減っていれば、ふたを開けた時に正しく1回分の薬剤がセットされたことになります。

②息を吐き出す
姿勢を正し、無理のない程度で、しっかり息を吐き切ります。

③薬剤を吸い込む
マウスピース(吸入口)を深くくわえて口をすぼめ、「強く」「早く」「一気に」スーッと息を吸い込んでください。

④息を止める
薬剤を吸い込んだら、マウスピースから口を離して3~5秒ほど息を止め、その後ゆっくりと息を吐いて呼吸を再開します。

⑤エリプタのふたを閉じる
カチッという音がするまで、しっかり閉じてください。

⑥うがいをする
口の中に残った薬剤を洗い流します。

3.レルベアの副作用


よくある副作用は、声枯れ(嗄声:させい)です。声がかすれたり、しわがれ声になってしまいます。

また、口の中の粘膜や舌に白いコケのようなものが付く「口腔カンジダ症」になることもあります。

【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05

どちらの副作用も、口の中に薬剤が残っていると起こりやすいので、レルベアを吸入した後は、うがいをしたり口の中をゆすいでください。

まれにですが、息苦しさや発疹、発熱などの副作用が現れることがあります。そのような場合は、すぐに主治医に相談してください。

◆「吸入ステロイド薬の副作用」について>>

4.使用上の注意点

レルベアは、喘息の発作を抑える薬ではありません。発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。

◆「喘息で息苦しい時の応急処置」>>

レルベアを続けて使用するうちに症状が出なくなり、体の調子がよくなると「今日は使わなくても大丈夫」とか「少しくらい減らしてもいいだろう」という気持ちになるかもしれません。

しかし、突然使用を中止すると、いきなり症状が悪化することがあります。自己判断で吸入回数を変更したり、使用を中止することは絶対にしないでください。吸入量は、医師と相談しながら減らしていきましょう。

妊娠・授乳中の方は医師に相談してください。「ステロイドは怖い」「おなかの中の赤ちゃんによくないのでは」と思う方もいるでしょうが、喘息の発作が起こると胎児に悪影響が出る恐れもあるので、症状をコントロールするための治療は必要です。

◆「喘息の女性が気になる妊娠中の不安や疑問に答えます」>>

持病やアレルギーのある方、ほかの薬を使用している方も、医師に相談してください。

【参考資料】『Fluticasone And Vilanterol (Inhalation Route)』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/drugs-supplements/fluticasone-and-vilanterol-inhalation-route/side-effects/drg-20061007?p=1

5.レルベアの薬価

レルベアの薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。

 ・レルベア100エリプタ14吸入用 2357.3円/キット

 ・レルベア100エリプタ30吸入用 4857.8円/キット

 ・レルベア200エリプタ14吸入用 2574.7円/キット

 ・レルベア200エリプタ30吸入用 5402.7円/キット

 ・小児用レルベア50エリプタ14吸入用 2367.4円/キット

 ・小児用レルベア50エリプタ30吸入用 4846.8円/キット

レルベアの代わりとなるジェネリック医薬品や市販薬はありません。

◆「喘息吸入薬の種類について。市販薬はあるの?」>>

6.おわりに

レルベアと同じように、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬には、以下のようなものがあります。

 アドエア

 ・シムビコート

 ・フルティフォーム

 ・アテキュラ

レルベアを使っても症状が良くならない人は、正しく吸入できていないことも多いのですが、吸い方に気をつけても効果を感じられないときは、ほかの薬が使えるかどうか医師に相談してみましょう。

◆「呼吸器内科とはどんなところ?」について>>

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