ブログカテゴリ
外来

喘息治療に用いる薬「ドメナン」の特徴と効果、副作用

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)

ドメナンは、喘息治療に用いる錠剤で、成人に処方される薬です。

喘息の治療では、吸入薬の服用が中心になりますが、患者さんの体調や状態によっては、ドメナン錠のような内服薬(飲み薬)を併用していくこともあります。

この記事では、ドメナン錠の使い方や効果、副作用などについて解説します。初めて使う方も、使っているうちに疑問点が出てきた方も、ぜひ最後までお読み下さい。

1.ドメナンとはどのような薬か

ドメナンは、「オザグレル塩酸塩」を主成分とする卜ロンボキサン合成酵素阻害剤です。

卜ロンボキサンとは、体内の代謝作用によって生成される物質です。そのうち、トロンボキサンA2(TXA2)は、気管支を収縮させ、アレルギー反応を引き起こす作用にかかわっています。

ドメナンは、トロンボキサンA2の合成を阻害したり、活性を低下させることで気管支の収縮や気道の過敏性を抑え、咳や息苦しさなど喘息の症状を改善します。

【参考情報】『The role of thromboxane in allergen-induced asthmatic responses』The University of Manchester
https://research.manchester.ac.uk/en/publications/the-role-of-thromboxane-in-allergen-induced-asthmatic-responses/fingerprints/

ドメナンと同じ卜ロンボキサン合成酵素阻害剤として「ベガ」という錠剤もありましたが、2018年に販売中止となりました。

ドメナンは、比較的軽い喘息の患者さんに処方することが多い薬です。単独では弱いので、通常、他の喘息治療薬と併用します。

◆「喘息吸入薬の種類について。市販薬はあるの?」>>

ドメナン錠は、内服してすぐに抗アレルギー作用を発揮する薬剤ではありません。毎日規則正しく使用することで、喘息の根本的な病態を改善し、発作が起こらないようにしていく薬です。

◆「喘息は完治する?しない?」>>

2.ドメナンの使い方

ドメナン錠は、通常、1日2回・朝食後と就寝前にそれぞれ2錠、水かぬるま湯で飲みます。

服用量は患者さんの状態や症状により変わってくるので、必ず指示された服用方法に従ってください。

飲み忘れた際は、すぐに気づいた場合は1回分を飲んでください。遅くに気づいた場合は、忘れた分を抜き、次回から指示通りに飲んでください。

飲み忘れたからといって、一度に2回分を飲むことは、絶対にしないでください。

3.ドメナン錠の副作用

ドメナンの副作用には、以下のようなものがあります。

 ・吐き気
 ・かゆみ
 ・発疹
 ・胃や腹部の不快感

ドメナンのようなトロンボキサン合成酵素阻害薬には、「血液が固まらないようにする」という作用もあります。

そのため、副作用として出血しやすくなることがあり、歯磨きの際に歯ぐきから出血したり、ちょっとした動作でも、打ち身のような内出血が認められることがあります。

出血しやすくなるため、手術前には休薬が必要なこともあります。手術の予定がある方は、ドメナンを服用していることを、担当医に伝えておきましょう。

4.使用上の注意点

ドメナンは、喘息の発作を抑える薬ではありません。

発作が起こり、咳や息苦しさが強くなってきたときは、医師から処方された発作治療薬(リリーバー)を服用してください。

◆「もしも喘息発作が起こったら~緊急時の対処法~」>>

ドメナンは、小児気管支喘息患者を対象とした臨床試験において、副作用として関節痛が報告されています。そのため、小児に使用することはできません。

大人に処方された薬をお子さんに飲ませたり、お子さんが間違って飲むことがないように注意してください。

妊婦または妊娠している可能性のある女性、授乳中の方は、薬の使用の可否について主治医と相談して下さい。

◆「喘息の女性が気になる妊娠中の不安や疑問に答えます」>>

【参考情報】『Asthma During Pregnancy』Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/asthma-during-pregnancy/

5.ドメナン錠の薬価

ドメナン錠の薬価(2024年8月調べ)は、以下となります。

 ・ドメナン錠100mg 30.2円
 ・ドメナン錠200mg 57.4円

ドメナンの代わりとなるジェネリック医薬品は「オザグレル錠」です。

6.おわりに

喘息の人の気道は、治療によって症状がおさまってきても、炎症そのものはまだ続いています。

体調がよくなったからといって、自己判断で薬を止めたり量を減らすと、病状が悪化することがあります。必ず専門医の指示に従い、しっかりと服用を続けてください。薬を減らしたい・変えたいと思ったときは、主治医に相談してみましょう。

服薬を続けるとともに、食事・睡眠・運動といった基本的な生活習慣を整えたり、発作の原因となるダニなどのアレルゲンを避けたり、風邪などの呼吸器感染症を予防することも忘れないでください。

気道の炎症を上手にコントロールして、症状の悪化を防ぎ、健康な人と変わらない生活を送っていきましょう。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

電話番号のご案内
電話番号のご案内
横浜市南区六ツ川1-81 FHCビル2階