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ビタミンCの働きと摂り方の工夫

鈴木茉由(管理栄養士)

最終更新日 2023.9.4

1.このような方には、ビタミンCが不足しているかもしれません

・ストレスを感じている
・疲れがたまっている
・風邪をひきやすい
・シミやシワがでてきた
・朝起きられない

今までに一度は、このようなことを感じたことがあるのではないでしょうか。
この症状は、ビタミンCを摂取することで改善できる可能性があります。

2.ビタミンCとは

「ビタミン」とはタンパク質、脂質、炭水化物、ミネラルと並ぶ五大栄養素のひとつです。人の生理機能を正常に維持するうえで補助的にはたらきます。
【参考情報】eヘルスネット ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html

ビタミンといえば、ビタミンCを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
スーパーやコンビニでは、「ビタミンC入り」と書かれた飲み物が売られているのをよく見かけます。
ビタミンCとは水溶性ビタミンの一種です。化合物名はアスコルビン酸といいます。
柑橘類などの果物や、じゃがいも、サツマイモなどの芋類、赤パプリカ、葉物野菜に多く含まれています。
分子栄養医学(オーソモレキュラー)の観点からみた、ビタミンCの具体的なはたらきを見ていきましょう。

2-1.コラーゲンをつくる

コラーゲンとは、動物の結合組織を構成するタンパク質で、体のタンパク質量の約3分の1を占めます。細胞と細胞をつなぎ合わせ、骨、皮膚、血管、歯などあらゆるところに存在しています。
コラーゲンに多く含まれるヒドロキシプロリンの合成には、ビタミンCが関与しています。ビタミンCは活性酸素を抑え、肌をなめらかにするコラーゲンの合成を助けるため、皮膚のシミ・シワを防ぎ、傷ややけどの治りも早くしてくれます。

ビタミンCの欠乏症として壊血病がありますが、これはコラーゲン合成の低下によることで引き起こされます。
ビタミンCが不足すると、成熟したコラーゲン分子を生成することができず、毛細血管が破れやすくなり出血症状が生じると考えられています。

【参考情報】分子栄養学 編/加藤久典 藤原葉子 羊土社

2-2.免疫力を高める

ビタミンCは体の免疫機能の維持にはたらき、風邪などのウイルス性の病気から体を守ってくれます。
免疫とは、ウイルスや細菌などの異物から体を守るための仕組みのことです。
その仕組みの主役となる白血球には、ビタミンCがたくさん貯蔵されています。
風邪や感染症にかかると、白血球中のビタミンCは急速に減少し、病気が治ると徐々にもとの量に戻っていきます。

2-3.鉄の吸収に影響

ビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を助けるはたらきがあります。
主に動物性食品に含まれるヘム鉄に比べて、植物性食品に多く含まれる非ヘム鉄は吸収割合が低くなります。
これは、生体において、鉄は2価鉄の状態で吸収されるためです。
2価鉄であるヘム鉄はそのまま吸収されるのに対し、3価鉄である非ヘム鉄は食物繊維などから吸収阻害を受けてしまいます。そのときに、ビタミンCは非ヘム鉄を2価鉄に還元させ、吸収を助ける働きがあります。

他にも、ビタミンCは酸化されたビタミンEを再還元するなど、強い還元性、抗酸化作用があります。

2-4.ストレスに効く

ビタミンCは、ストレスに対抗するはたらきがあります。
私たちはストレスを感じると、副腎という臓器からストレスに対抗する“抗ストレスホルモン”である「ドーパミン」「アドレナリン」が分泌されます。
ビタミンCは、これらのホルモンの合成に関与しています。
ビタミンCが不足すると、ストレスと戦う力が低下してしまい、疲れやすくなってしまいます。

【参考情報】 一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所
https://www.orthomolecular.jp/nutrition/vitamin_c/

3.ビタミンCの摂り方には工夫が必要

ビタミンCは水溶性ビタミンの一種であり、水に溶け出しやすい性質があります。
また、熱や光に弱く、調理の過程で失われやすいという特徴があります。
そのため、摂取の仕方には工夫が必要です。

3-1.なるべく生で摂る

ビタミンCは熱に弱く、野菜の調理による損失は平均で50~60%といわれています。
ビタミンCを多く含む野菜などは、生で食べるか、さっとゆでる調理法がおすすめです。
生のまま食べられるいちご、キウイは、効率よくビタミンCを摂取することができます。
しかし、果物には糖質も多く含まれるため、摂りすぎには注意が必要です。
また、れんこん、じゃがいもなどの比較的熱に強い野菜も活用していくとよいでしょう。

3-2.細かく切りすぎないようにする

食材の切り方にも注意が必要です。
野菜を細かく切りすぎると、断面が増えるため、水や熱に触れる部分が多くなり、そこからビタミンCが溶け出してしまいます。
また、ビタミンCは酸化しやすいため、野菜や果物は切ったまま放置せず、新鮮なうちに調理をするようにしましょう。

3-3.サプリメントから摂取する

成人のビタミンCの1日の推奨量は100mg(0.1g)が推奨されています。
これは赤パプリカ半分、ゆでブロッコリー200g程度で足りる量です。
しかし、ベストな健康の維持、病気の予防としてビタミンCを摂取する場合では1日約3000mg(3g)必要だと考えられています。
赤パプリカだと約150個分、ブロッコリーは約73房分となります。

人間は、ビタミンCは体内で合成をすることができません。
また、一度に大量のビタミンCを摂取しても、すぐに体外に排出されてしまうためこまめに摂る必要があります。
ストレスの多い現代社会ではビタミンCの消耗が激しいため、食事だけで必要量のビタミンCを賄うことは難しいでしょう。
サプリメントを利用することで、効率よくビタミンCを摂取できます。

【参考情報】日本人の食事摂取基準(2020年版)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html

4.おわりに

ビタミンCは、様々な病気や老化から身体を守ってくれる働きがあります。
コラーゲンの生合成にも関わり、生体の維持にも必須となるビタミンです。
抗ストレスにもはたらき、疲れやすい、朝起きられないなどの「なんとなく不調」の状態も改善されます。
摂取方法を工夫しながら、毎日積極的にビタミンCを摂りましょう。

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