1.栄養指導とは
栄養指導とは、健康の維持・増進を目的として、保健所などで対象者に合わせた食事の選び方や調理方法などを指導する業務です。
また、既に病気にかかっている方を対象として、病院やクリニック等で食事に関する指導を行います。
2.栄養指導が行われている場
管理栄養士による栄養指導は、主に病院やクリニック、福祉施設、保健所、薬局など様々な場所で行われています。
2-1.病院
病院で行われる栄養指導は主に3つあります。
1つ目は個別栄養指導です。
個別栄養指導とは、その名の通り個別に栄養指導を行うことをいいます。
個別に行うので、対象者の方に合わせたアプローチを提案することができます。
個人の生活スタイルに合わせ、できることから一緒に目標を設定することで、食事の管理について意識向上に繋げていきます。
2つ目は集団栄養指導です。
集団栄養指導とは、その名の通り集団で栄養指導を行うことをいいます。
減塩教室や糖尿病教室など、患者数の多い病気を対象に行うことが多いです。
入院中の場合は、入院期間内で2回が限度であること、1回が40分以上15人以下であることを条件として加算することができます。
3つ目はNST(栄養サポートチーム)です。
NSTとは、多職種が連携し、主に入院患者への適切な栄養管理を実施・支援するチームです。
医師や看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師など多くの専門職が関わります。
多くの病院は、曜日によって対象の疾患を変えて、回診します。
管理栄養士が関わる疾患は、主に褥瘡がある方や緩和ケアです。
嚥下機能に関することは歯科医が関わるなど、対象の病気ごとに必要な職種で連携して対応します。
2-2.クリニック
クリニックでは、主に慢性的な病気の方を対象とし、医師による診察に加えて、管理栄養士による栄養指導を行います。
病院で行う栄養指導は、既に重症化していて、半強制的に食事を制限することが多いです。
病院と比較すると、クリニックの栄養指導は重症化予防を目的とし、個々に合わせた食事を無理のない範囲で提案し、病気の改善や健康維持のサポートを行っていきます。
それによって、患者さんの物心両面の幸せを叶えます。栄養面はメンタル面での健康や認知症の進行にも関わっているので、栄養状態が良い方は精神面も良好です。
継続して栄養指導を行うことで、身体の不調の改善以外にも、うつ病や認知症の予防にもつながります。
長期的に患者さんと関わることで、患者さんにとって管理栄養士がなんでも相談できる相手となります。
それにより、患者さんの些細な変化に気付くことができ、細かい不調にもすぐに気づくことができます。
また、管理栄養士による栄養指導は、保険診療では初回は1回30分、2回目以降は1回20分行うと診療報酬を加算することができます。
2-3.保健所
保健所では、地域の健康増進のために栄養相談やイベントの場を設け、集団で栄養指導を行います。
特に子育て世代を中心とし、3歳児健診など子どもの健診で保健所に来られる際に母親学級等を同時に行うことが多いです。
健康な人を対象とした栄養指導ならば栄養士でも可能であり、病気にかからないためにはどうしたらよいかを食事の観点から指導します。
2-4.福祉施設
福祉施設では、主に高齢者や障がい者の方を対象に栄養指導を行います。
高齢者は、歯がない場合や、口腔機能が弱っていてうまく噛めない場合が多いです。
そのため、ゼリー食などを用いて、どのように口から食事を食べていただくかというところに工夫が必要です。
障がい者の方は、肥満の方が多かったり、偏食が多い統計があります。
そのため、バランスが良い食事をとるための栄養指導を行います。
また、施設の中で過ごすことがほとんどなので、食事から季節が感じられるような献立作りが必要となります。
食事をとるのが難しい方には、どうやってエネルギーをとってもらうかを工夫しながら対応していきます。
2-5.一般企業
調剤薬局やスポーツジム、エステ、サプリメント会社などで栄養相談を行っている場合があります。
法律上では、栄養士や管理栄養士の免許は必須ではありませんが、免許を持っている人を対象に採用する場合も多いです。
会社によっては、栄養指導以外の業務がほとんどを占める場合も多いため、「入職してみたらイメージと違った」とならないように事前によく確認しておきましょう。
3.栄養指導ができる職場に就職するためには?
栄養指導を行う職場は幅広くありますが、自分の興味がある分野ややりたいことと実際の業務内容が重なるかを確認し、検討しましょう。
出来るだけ見学やインターンに参加することをおすすめします。
4.おわりに
管理栄養士による栄養指導は、様々な場所で行われています。
自己研究を行い、自分の興味関心ややりたいことを明確にした上で、自分に合った職場探しを行いましょう。