当院では治療の一つとして、管理栄養士が分子栄養学と選択理論心理学を用いた栄養カウンセリングを行っています。
一人ひとりにあった食事療法を提案し、患者様の健康をサポートに努めています。
健康な身体作りに必要な栄養素はとても沢山あります。
その中でも今回はビタミンDのもつ効果や種類、摂取方法についてお話していきます。
1.ビタミンDとは?
ビタミンDとはどのような栄養素なのでしょうか?
種類や効果などをご紹介します。
1-1ビタミンDの種類
ビタミンDの種類は全部で6種類あると言われています。
D1は発見された後に不純物であることが分かり存在しない為、D2からD7の6種類となります。
その中でも特に、ビタミンD2とビタミンD3の二つが人の身体にとって重要なビタミンとされています。
D2とD3の働きは同じとされていますが、近年ではビタミンD3の方がビタミンD2より2倍の働きをするという意見もあります。
1-2ビタミンDの効果
ビタミンDを摂ることで得られる効果はいくつかあります。
よく知られる効果として、ビタミンDには骨の健康を保つためのサポートをする役割があります。
骨を作るというとカルシウムをイメージされる方も多いかと思いますが、カルシウムだけでは健康な骨を保つことは出来ません。ビタミンDがカルシウムの吸収をサポートすることにより私たちの骨は健康を保つことができています。
また近年ではそれ以外にも、免疫力を上げる効果により感染症の重症化リスクを軽減したり、ガンや糖尿病などの病気にも有効性があるという報告がされています。
また妊娠しやすい身体作りにもビタミンDは有効性があると報告されており、さらには妊娠中にビタミンDを十分に摂取することで子どもが小児喘息にかかるリスクが大きく低下することも分かっています。
2.ビタミンDの摂取方法
それでは、ビタミンDはどのように摂取できるのでしょうか?
2つの接種方法についてお伝えします。
2-1 食べ物から取る方法
ビタミンDを摂取する方法としてまず挙げられるのが食べ物から摂取する方法です。
食べ物から摂取するビタミンDの中で、D2が植物由来、D3が動物性由来となっています。
ビタミンD2を多く含む食材として、干ししいたけ、きくらげ等のきのこ類が挙げられ、ビタミンD3を多く含む食材としては、サケやマス、サンマなどの魚介類に多く含まれています。また穀物類や野菜には含まれておらず、肉類にもあまり含まれていません。
またビタミンDは脂溶性なので、油で調理したり脂肪の多い魚や卵黄と一緒に食べることにより効率的に吸収されると言われています。
2-2 紫外線にビタミンDを作ってもらう方法
ビタミンDは食事やサプリメントから摂る方法以外にも、紫外線に当たることでも生成されます。
日光に当たることにより、肝臓や腎臓でよく働いてくれる「活性型ビタミンD3」へ変わることのできるビタミンD3を摂ることが出来ます。
ビタミンD3を作る紫外線は、日焼けの原因ともなる光です。
近年紫外線は皮膚に悪いということが常識になっており、外出時は必ず日焼け止めを塗ったり、UVカットの物を身に着ける方も多くいますが、適度に日光に当たることもビタミンD3を生成する上ではとても大切なことなのです。
紫外線を恐れすぎずにバランスを保ちながら日光に当たる生活をする必要があります。
朝15分から30分程度散歩をし日光を浴びるだけでも効果があるとされています。
ただ冬場は日照時間が短いので十分に日光を浴びる時間も短くなってしまう為、ビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取するようにしましょう。
また干ししいたけやしらす干しなどは、日光にあてることでビタミンDの量を増やすことも出来ると言われています。
3.ビタミンDの働き
ビタミンDの主な働きとしては以下の通りです。
・カルシウムとリンの吸収促進
・骨の形成と成長促進
・遺伝子の働きを調整
・筋肉の機能維持
・細胞の成長と分化
・免疫力を高める
・糖尿病予防
・発がんの抑制
ビタミンDはカルシウムとリンを吸収し骨を丈夫にしたり、遺伝子の働きを調整したり、近年では研究により、免疫力を高める効果があることや様々な病気に効果があることがわかってきました。
このように私たちの健康な身体づくりには欠かせない栄養素となります。
一方でビタミンDが不足すると、成人の場合骨粗しょう症や骨軟化症の症状が出やすくなります。
特に妊娠中や授乳中の女性においては、子どもの骨や歯の成長に大きく関係し、ビタミンDが不足していると子どもがくる病にかかるリスクがある為、積極的に摂取する必要があります。
またそれ以外にも糖尿病や動脈硬化、免疫力低下、花粉症、がん、認知症、不妊、うつなどの症状が出ることも報告されています。
4.この時期にビタミンDをお勧めする理由
ビタミンDには免疫力を強化させる効果があることが近年注目されています。
世界的に流行した新型コロナウイルスでもビタミンDの有効性は確認されており、ビタミンDが充足している患者さんは、ビタミンDが不足している患者さんより、54%も重症化のリスクが減り、死亡率も有意に減少しているという研究結果が報告されています。
さらにはそもそも新型コロナウイルスにかかるリスクも減ると考えられています。
新型コロナウイルス以外にもインフルエンザの予防などにも効果がみられ、実際にインフルエンザA型の罹患率が下がったといった報告もされています。
様々な感染症が流行している時期こそビタミンDの摂取をお勧めしています。
また花粉症が辛い時期になってきましたが、ビタミンDにより免疫力が高まることで花粉症の症状が和らぐ効果もありますので、花粉症でお困りの方にも摂取をお勧めします。
5.おわりに
当院では一人ひとりの患者様に寄り添い健康な身体で過ごせるよう栄養カウンセリングをおこなっております。
その中でも今回は、カウンセリングを行うときにもよくお話させていただく栄養素の内の一つ、ビタミンDについてお話させて頂きました。
ビタミンDの持つ効果を知り、さらに健康な身体を手に入れましょう。