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管理栄養士がすすめる栄養素マグネシウムとは?

鈴木茉由(管理栄養士)

最終更新日 2024.5.28


当院では治療の一つとして、管理栄養士が分子栄養学と選択理論心理学を用いた栄養カウンセリングを行い一人ひとりにあった食事療法を提案し、患者様の健康をサポートしています。

健康な身体作りに必要な栄養素はとても沢山あります。その中でも今回はマグネシウムのもつ効果や種類、食生活に取り入れやすい食品紹介、摂取方法についてお話していきます

1.マグネシウムとは?


マグネシウムとはどのような栄養素なのでしょうか?
成分や効果についてお話します。

1-1成分

マグネシウムは、体内で約300種類以上もの酵素の働きを助けるミネラルの一種です。
カルシウムと密接な関わりがあり、骨や歯の形成に必要な栄養素です。
多くの体内酵素の正常な働きと エネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つ作用があります。

マグネシウムは、体内で7番目に多く含まれるミネラルで、体内のミネラルバランスを整える上でも重要な役割を担っています。

体内にはおよそ25gのマグネシウムが存在しており、その50~60%が骨に存在しています。

【参考情報】マグネシウム|e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html

1-2マグネシウムの効果

マグネシウムの効果については下記のようなものがあります。

・丈夫な骨をつくる効果
骨や歯の発育や強化に重要な役割を担っています。
骨の主な成分はリン酸カルシウムですが、マグネシウムも骨の中に存在しており、骨に弾力性やし なやかさを与え骨の維持に役立っています。

・高血圧を予防する効果
細胞内のカルシウムやナトリウムの量を調節し、正常な血圧の維持や血液の循環を保つ効果があります。
又、動脈を弛緩させて血圧を下げる働きがあり、高血圧を予防します。

・心疾患を予防する効果
血液中のカルシウムの量を調節し、筋肉の収縮をスムーズにする効果があります。
筋肉の収縮はカルシウムが筋肉細胞内に流れ込み刺激を与え、緊張が高まる事によっておこります。
マグネシウムはこのカルシウムの動きを必要によって抑え調整しています。
このバランスが崩れ筋肉の収縮が上手くいかず、痙攣やふるえ等が起こり心臓が規則正しく拍動できないといった症状が起こります。

・精神を安定させる効果
神経の興奮を抑え、神経伝達を正常に保つ働きがあります。
マグネシウムを摂取する事で、精神的にイライラする気持ちをやわらげ、精神状態を安定した状態で保つ効果があります。

2.マグネシウムの摂取方法


マグネシウムはどの様に摂取しているのでしょうか?
摂取量や多く含まれている食品をご紹介いたします。

2-1 マグネシウムの摂取量

1日のマグネシウムの推奨量は男性と女性、又年齢等によっても異なります。
男性・女性それぞれの推奨量は下記となります。

【男性】
18~29歳340mg、30~64歳370mg、65~74歳350mg、75歳以上の320mg
【女性】
18~29歳270mg、30~64歳290mg、65~74歳280mg、75歳以上260mg

【参考情報】(日本人の食事摂取基準(2020年版))
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf

又、マグネシウムは摂取量だけでなく吸収率の変化や尿中排泄量の増減によっても必要量がかわってきます。

その為、マグネシウム量にだけ注目するのではなく、その他の環境因子についても考える必要があります。

日本の土は、火山灰土であるため、もともとミネラル成分が少なくなっています。

又、現代の日本人はストレスを抱えていたり、飲酒・食生活の変化などからマグネシウムが足りなくなっている恐れがあります。

2-2 マグネシウムを多く含む食品等

マグネシウムの摂取は主に植物性食品で摂る事が多いと言えます。

マグネシウムを多く含む食品の摂取量の違いが体内のマグネシウム量に直結してくるため、日頃より
マグネシウムが多く含まれている食品の摂取を心掛けることが重要です。

マグネシウムを多く含む食品
○野菜類
○大豆製品:大豆、豆腐、納豆など
○穀類:玄米など精製していない穀類
○種実類:アーモンド、落花生、ごま、そばなど
○魚介類:キンメダイ、干しエビ、ヒジキ、ワカメなど

又、食品の他に水分での摂取がありますが、日本では、軟水である事が殆どです。
軟水とは硬水に比べカルシウムやマグネシウムが含まれる量が少なくなっており、日本人は特に水からのマグネシウム摂取の期待は薄いと言えます。

しかし、海水にはマグネシウムが存在する為、海水で作った塩にはマグネシウムが多く含まれています。
最近は99.9%塩化ナトリウムの塩が出回っていますが、海水を煮詰めて作った塩や岩塩を使うとマグネシウムの補給に繫がります。

3.マグネシウムの働き


マグネシウムは様々な働きをしています。

・身体をゆるめる
 マグネシウムには筋肉を緩めて柔らかくする働きがあります。
 その為、不足すると筋肉が収縮し痙攣を起こしやすくなります。
 足がつる等の症状もマグネシウム不足の表れの可能性があります。

・睡眠の質を高める
 睡眠に関わる神経伝達物質「GABA」を増加させる働きもあるため、睡眠の質を高めてくれる可能 性があります。

・新陳代謝を高め老廃物の排泄を促進する働き
 マグネシウムは体内で吸収されにくく、腸内の水分を集める性質があります。
 その為、便をやわらかくしてスムーズなお通じが期待できます。

4.この時期にマグネシウムをお勧めする理由


マグネシウムは骨を構成する成分の一つであるため、不足すると骨折のリスクが高まります。
また、体内で起こる代謝反応やエネルギー産生の補酵素としても働いており、神経伝達や筋肉収縮、ホルモン分泌などにも影響を与えてしまう物質であると言えます。

4月は新しい生活をはじめる等環境の変化が多い季節でもあり、緊張感のある生活が続くとミネラルが枯渇しやすくなる為マグネシウムを入れて身体をリラックスさせ、副交感神経が優位になるようサポートしてます。
体の形成だけではなく、精神的なサポートもできるためこの時期おすすめの栄養素です。

5.おわりに

当院では患者さんの心身に寄り添った栄養カウンセリングを行っております。

新しい生活が始まるこの時期だからこそ、心と身体におすすめのマグネシウムについてお話させていただきました。

マグネシウムのもつ効果を知り、心身ともに健康な身体を手に入れましょう。

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