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管理栄養士の行う栄養指導とは?

最終更新日 2024.8.31


当院では地域のクリニックでは珍しく管理栄養士が多く在籍しております。

患者様一人ひとりに合わせた内容で「かかりつけの管理栄養士」がいるクリニックとして、毎日多くの患者様の栄養指導を行っています。

管理栄養士とは、栄養に関する専門知識を持ち、個々のニーズに応じた食事指導や栄養相談を行う専門職です。

健康な人に対してだけでなく、病気を患っている方や食事を摂りにくくなっているお年寄りなど配慮が必要な方への栄養相談を行います。

管理栄養士の仕事のなかでも「栄養指導」は、とても重要な業務の一つであり、個人の健康状態や生活習慣に合わせた適切な食事計画を提供することで、人々の健康維持や病気の予防、さらには治療のサポートに貢献します。

本記事では、管理栄養士による栄養指導の重要性、実際の指導方法、そしてその効果について詳しく解説します。

1.栄養指導の重要性


栄養指導には様々な目的があります。
又、指導方法によって効果も異なる為、患者様に寄り添った指導となるよう行う事が大切です。

1-1.生活習慣病

栄養指導とは、食事を通じて現在問題を抱えている疾患の改善や回復など健康を維持・向上させるための具体的なアドバイスを行います。

現代社会では食生活の乱れや喫煙、飲酒、運動不足などで生活習慣病が増加しています。

生活習慣病と言われる病気の中に糖尿病や高血圧、脂質異常症などがあげられます。
これらの病気ははじめは特に目立った症状が現れないのですが、放置すると脳卒中や心臓病など重篤な病気へのリスクが高まる疾患です。

生活習慣病は名前の通り生活習慣が大きく影響します。
寝不足やストレス、先程述べた運動不足や飲酒など様々な要因がある中で食生活もとても大きく影響しています。

そのことから管理栄養士による栄養指導が生活習慣病改善の為にはとても重要となります。

塩分を控えめにしたり、脂質の摂りすぎに注意したり、野菜を沢山食べたり、毎日の食事を少し意識するだけでこれらの生活習慣病は改善される可能性があります。

1-2.健康意識の向上

栄養指導を受けることで、自分に必要な栄養素を知ることができたり、健康を意識したバランスの摂れた食事をするようになり、その結果個人の健康意識を高めることに繋がります。

健康意識が高まることで次第に生活習慣病と呼ばれる疾患が改善していき、そのような生活を続けることで長期的な健康維持に繋げることができます。
また健康を意識した生活をし結果が出ることで前向きな気持ちで取り組むことができます。

1-3.個別対応

では実際に食事の摂り方に気を付けて過ごそう!そのように意識して色々調べてみても自分にはどの栄養素が足りなくて、どのようなことに気を付けて食事をすればよいのか分からない人がほとんどだと思います。

そんな時当院の栄養指導では、診察時のカルテや血液検査を元に、患者様一人ひとりにあった食事方法や今身体が必要としている栄養素は何かなど患者様の生活スタイルに合わせ取り組みやすい方法をお伝えするので、無理なく取り組むことができ、症状の改善をとても実感しやすくなります。

2.栄養指導 プロセス


当院の栄養指導の方法について詳しくご説明いたします!

2-1.初回面談

まずはじめに当院では医師の診察を受けてもらい、その後管理栄養士による栄養指導をスタートします。

初回からいきなり「このような食事を摂りましょう」などといった指導は当院では行いません。
何故ならもちろんはじめから自分のため、家族の為にと前向きに栄養指導を受けに来てくださる患者さんもおられますが、「自分に本当に必要なのかな?」「今更頑張っても…」「面倒くさそうだな」など気が進まない患者様もいらっしゃいます。

そういった患者様にも前向きに取り組んで頂けるよう、まずは今どんな不調やお悩みがあるか、普段から運動はされるか、食生活はどのような感じかなど患者様一人ひとりのライフスタイルをヒアリングします。

管理栄養士が一対一でゆっくりお話をお伺いするので、医師の診察だけでは分からなかった細かな生活習慣が分かり、患者様一人ひとりにあった栄養指導を行うことが出来るのです。

2-2.目標設定・計画立案

ヒアリングの後、実際にどうしてこの疾患には食事療法が必要なのか、食事を意識して変えていくことでどのような変化があるのかなど食事と病気の関係性を分かりやすくお伝えし、今患者様の食生活ではどのようなことが問題なのか、そして食生活を変更していくと患者様の身体がどのように変化をしていくかを説明します。

そして目標を患者様と一緒に決めていきます。
はじめからいきなり食生活を全て変えて下さいというのは患者様にとってもストレスになりますし、続けることが難しくなります。なのでまずは無理なく取り組めそうな小さな目標を決めます。

例えば毎日ごはんのお替りが習慣になっている患者様には、「2日に1回は一膳に変えてみませんか?」などです。そして患者様が取り組みやすいよう具体的なレシピの提案なども行います。

そして目標の達成を目指して食事記録をつけてもらうようお伝えします。はじめは食事記録をつけるのも面倒だなと思われる方もいらっしゃると思いますが、普段の食事を振り返るのにとても良い機会になります。

2-3.実施

初回の栄養指導後は家庭で実際に実践してもらい、二回目以降は患者様が記載して下さった食事記録を見ながら最近の検査結果や、体重の変化などを患者様と一緒に確認していきます。

2-4.評価・FB

患者様には実践を続けてもらい、食事記録を元に管理栄養士はカロリーやたんぱく質、塩分量などの計算をし、目標とする食事量・バランスと比べてどうかを一緒にチェックしていきます。

そして検査数値や体重の結果も併せて、再度目標設定を確認したり、改善点・工夫点をアドバイスいたします。

患者様によっては一度症状が改善してしまうとまたもとの食生活に戻ってしまうということもあるので、継続していってもらえるよう毎月のカウンセリングで食事内容を振り返ることも大切です

3.コミュニケーションの重要性


栄養指導を行う上でとても大切な事が患者様との信頼関係を築く事です。

信頼関係が成り立っていない中で色々指導をしても、患者様からすると素直にやってみようとは中々思えない方もいらっしゃいます。

そこで当院では一対一で栄養指導を行い患者様の気持ちに寄り添いながら進めていきます。
また選択理論心理学を栄養指導の中に取り入れ、患者様自らが選択し決められるよう管理栄養士がサポートしていきます。

4.栄養指導の実施例


ここで一件実際に当院で行った栄養指導の実施例を紹介致します。

疲れやすさや冷え性に悩む30代女性Aさん
Aさんはもともと喘息が良くならないということで当院を受診されました。

喘息の吸入薬だけでは中々症状が改善されないので、栄養指導を一度受けてもらうことになりました。
すると問診票から明らかにエネルギー不足、栄養素全般の不足、特に鉄の不足などが見受けられました。

そして咳以外にお困りの症状を聞くと疲れやすいことや冷え性についてのお悩みがありました。
そこで普段の食事内容をお聞きすると、朝はパン、お昼はパスタ、など麺類を好んで毎日食べていることが分かりました。

そのことからグルテンを多く摂取していることから腸が常に刺激を受けており、腸内環境が悪化し必要な栄養素が摂れていないことが分かりました。
そこで管理栄養士から腸内環境の為にも小麦の量を減らしてごはんに少しずつ変えていきましょうとお話をしました。

その後前向きに取り組んでくださったAさんは次回の栄養相談の時には小麦の量も減り、3ヶ月経った頃には疲れやすさや冷え性も改善され、咳の症状も落ち着いてきました。

腸内環境が整い必要な栄養素も吸収、代謝されるようになってきたのだと思います。

5.まとめ

管理栄養士による栄養指導は、一人ひとりの健康状態に応じて具体的なアドバイスを提供し、健康維持や病気の予防、疾患の改善に大きく貢献します。

当院では患者様との信頼関係を第一に、無理なく取り組めるよう栄養指導を行い患者様の長期的な健康をサポートしていきます。

栄養は健康状態をマイナスからゼロに引き上げるだけでなく、マイナスからプラスへと引き上げることも出来ます。
そのことから患者様の健康をサポートする上で栄養指導はとても大きな役割があるのです。

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