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新生活を始めるあなたへ!ストレス軽減に役立つ栄養管理法とは?

上田佳美(管理栄養士)

最終更新日 2025.4.21


新しい環境での生活はワクワクするものですが、そんな期待と同時に不安やストレスも感じやすい時期でもあります。

環境の変化に適応しながら、心身ともに健康な状態で新生活をスタートさせるために、栄養管理は非常に重要です。

今回は、新生活のストレスと栄養の関係、ストレス軽減に役立つ栄養素、そして忙しい日常でも実践できる栄養管理法について詳しく解説します。

新生活を始める方々の参考になれば幸いです。

1.新生活のストレスと栄養の関係


新生活では、環境の変化、人間関係の新構築、新しいことへの挑戦など、様々なストレスの要因が存在します。

これらのストレスは私たちの心身に影響を与えます。

1-1.ストレスの影響

ストレスが心身に与える影響は以下のようなものがあります。
身体的な影響
・睡眠障害(不眠、睡眠の質の低下)
・頭痛、肩こり、腰痛
・栄養不足による栄養失調 等

精神的な影響
・仕事や学業へのプレッシャー
・怒りっぽくなる
・気分の落ち込み
・集中力、記憶の低下 等

ストレスを感じると、私たちの体内では「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されます。

コルチゾールは、血糖値を上昇させ、免疫機能を抑制する働きがあります。
そのため、免疫力の低下や自律神経の乱れなどが生じます。

ストレスが慢性的になり、コルチゾールの分泌量が増えると、脳の海馬を萎縮させる作用が働きます。

また、上記の症状に加え、飲酒量や喫煙量の増加や、仕事や学業にも影響が出て、ひきこもりになるなど、日常生活にも支障をきたします。

【参考文献】『[コラム] ストレスホルモン「コルチゾール」と副腎の関係』
https://www.konishi-clinic.com/medical_information/archives/149

1-2.ストレスと食事の変化

ストレスは食生活にも大きな影響を与えます。

・偏食
・暴飲暴食
・食欲不振
・消化機能の低下

特にストレスがかかると、甘いものや脂っこい食べ物を欲する傾向が強くなり、栄養バランスが崩れてしまいます。

そのため、消化機能が低下し、胃痛や胃酸が逆流して起こる、逆流性食道炎、便秘、下痢などを引き起こすこともあります。

また、そのストレスを発散させるために、過食や飲酒に走ることもあるでしょう。

このような食生活の乱れは、さらにストレスを増幅させ、悪循環に陥る可能性があります。

2.ストレス軽減に効果的な栄養素


ストレスに負けない体を作るためには、栄養バランスの取れた食事が不可欠です。

必要な栄養素を十分に摂取することで、ストレスへの抵抗力を高めることができます。

特にビタミンB郡、マグネシウムなどはストレスに役立つ栄養素として知られています。

以下に主な栄養素をご紹介します。

1. ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーの代謝を助け、ストレスによる疲労の軽減や、神経機能の維持に不可欠な栄養素です。
その中でもビタミンB1は脳の働きをサポートし、ストレスによる集中力低下を防ぎます。
ストレスを感じると、ビタミンB群の消費量が増加するため、積極的に摂取することをおすすめします。

・役割:エネルギー代謝、神経機能の維持
・多く含む食品:豚肉、レバー、玄米、卵など

2. マグネシウム
マグネシウムは、体内で約300種類以上の酵素の働きを助けるミネラルの一種です。
「抗ストレスミネラル」とも呼ばれており、神経の興奮を抑え、精神を安定させる効果があります。
ストレスを感じると、マグネシウムが不足しやすくなるため、意識して摂取しましょう。

・役割:神経の安定化、筋肉の弛緩(しかん)※たるんだようになって緩むこと
・多く含む食品:海藻類、ナッツ類、大豆製品、ほうれん草などの緑黄色野菜など

◆「管理栄養士がすすめる栄養素マグネシウム」とは?>>

3. オメガ-3脂肪酸
オメガ-3脂肪酸は、脳の機能を活性化し、ストレスによる気分の落ち込みを軽減させる効果があります。
抗炎症作用もあるため、健康維持にも役立ちます。

・役割:脳機能の活性化、気分の安定化
・多く含む食品:青魚(サバ、イワシ、サンマなど)、亜麻仁油、くるみなど

4. トリプトファン
トリプトファンは、幸せホルモンの「セロトニン」という神経伝達物質の材料となります。
セロトニンは、心の安定や幸福感に関わる物質であり、ストレス軽減に役立ちます。

・役割:セロトニンの生成、気分の安定化
・多く含む食品:大豆製品、ナッツ類、バナナなど

5. ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一つで、体内に蓄積されにくいため、毎日摂取する必要があります。
また、抗酸化作用もあり、ストレスによる体の酸化(ダメージ)を防ぐ効果があります。
そして、コルチゾールの分泌を抑制する働きもあります。

・役割:抗酸化作用、コルチゾールの分泌の抑制
・多く含む食品:果物(いちご、キウイ、柑橘類など)、野菜(ブロッコリー、パプリカなど)

◆「ビタミンCの働きと摂り方の工夫」について>>

◆「管理栄養士がすすめる栄養素ビタミンC」とは?>>

上記に挙げた栄養素は食事から取り入れるのが重要です。

しかし、食事からではかなりの量を摂取しないといけません。

必要に応じてサプリメントとの併用をおすすめします。

3.忙しい日常でも実践できる栄養管理法


新生活は忙しく、自炊が難しいこともあるかもしれません。

しかし、忙しいからといって疎かにしてしまうと、心身ともに疲弊し、回復するのに時間がかかってしまうでしょう。

そうならないためにも、今のうちからの対策が重要です。

以下に、誰でも実践できる栄養管理法をご紹介します。

①自炊する
・バランスの良い食事を心掛ける
・朝食を抜かない、3食しっかり食べる
・お弁当を作る

②間食するなら
・簡単なスムージーを作る
 ⇨バナナ、豆乳ヨーグルト、ほうれん草、ナッツなどを入れることで、
  ビタミンB群・トリプトファン・マグネシウムを手軽に摂取できます。
・菓子パンやスナック菓子ではなく、ゆで卵やナッツ類、フルーツにする
・たんぱく質の摂取(プロテインバー、小魚、ゆで卵など)

③サプリメントの活用
食事だけで全ての栄養素を摂取することは難しいです。
そんな時は、サプリメントを活用し、不足している栄養素を補うのもよいでしょう。

4.まとめ

新生活はストレスが貯まりやすい時期ですが、適切な栄養管理を行うことで、心身ともに健康な状態で過ごすことができます。

ストレスがない人はいません。
しかし、うまく付き合っていくことはできます。

今回ご紹介した栄養素を意識し、ストレスに負けない体づくりを目指しましょう。

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